数理教育研究会

洛南高等学校附属中学校 算数 2021(R3)入試分析

今回は洛南高等学校附属中学校を取り扱います。

【入試資料分析】
倍率例年通りでした。
やはり女子の難易度が高いです。

受験者数→合格者数(実質倍率)
男子:530人→219人(2.42倍)
女子:263人→81人(3.25倍)
専願の合格者最低点は男子で236点,女子で276点
併願は男女295点。

合格者平均点は
国語:3科型で106.8 4科型で109.4
算数:3科型で107.4 4科型で95.5
理科:3科型で77.5 4科型で72.3
社会:4科型のみで78.5
総合:3科型で291.7 4科型で280.5

算数は昨年はかなり平均点が高くなりましたが今年は例年程度の平均点に戻りました。
洛南らしい面白い問題も出題されています。

 

【問題分析】

大問1…計算問題です。2021=43×47のネタはやはりあります。満点とりたい。

大問2…(1)割り切れる整数の個数の問題。総和なので(平均値)×(個数)も使える。あわせよう、

(2)不定方程式の問題、定番ですね。瞬殺したい。

(3)虫食い算。2021×(エオカキ)=3969244でだいたい4000000より少し小さいと考えると(エオカキ)の上2桁は19と絞れていきます。
あわせておきたい。

(4)二等辺三角形と言うよりは△DAC≡△BAEがポイント。そんなに難しくなくても意外と見落としそうです。

(5)例えば△EBCを上に平行移動してBCをADにくっつけて平行四辺形に等積変形すれば底辺12cm、高さ6cmとわかる。処理は簡単でも意外とわかりにくかったと思われる。

(6)定番の小立方体をあつめてペンキを塗る問題。瞬殺したい。

大問3…標準的な2点が移動する問題。得点確保したい。

大問4…濃度の問題であるが、面積図や天びん法などではなく、食塩水の重さは食塩の重さの定数倍になっていることを利用する面白い問題。
良い比の問題なのでぜひやってみて欲しい。

大問5…操作の問題。周期性がある。定番の方法を組み合わせると良いので勉強した人にとって点数は稼ぎやすい。

大問6…難関校では定番で何度か出されているような問題です。今回はこれを扱いたいと思います。

 

それでは問題を見ていきましょう!

(問題)R3 洛南高等学校附属中学校 算数 大問6
1辺の長さが6cmの立方体ABCD-EFGHがあります。辺EF,FG,GH,HEの真ん中の点をそれぞれI,J,K,Lとし、2直線IKとJLとの交点をMとします。このとき、次の体積はそれぞれ何cm³ですか。
(1)四角すいA-GKMJ

(2)2つの四角すいA-GKMJとC-EIMLの重なる部分

(3)2つの四角すいC-EIMLとD-FJMIの重なる部分

(4)立方体から4つの四角すいA-GKMJ,B-HLMK,C-EIML,D-FJMIをのぞいた後に残る部分

[解説]
(1)3×3×6÷3=18cm³

(2)面AEFBの方向から見ると図のようになります。

 

 

よって地面から0cm,2cm,3cmの高さで地面と平行な面で切った断面をそれぞれ考えます。

○高さ3cm

図のようにA-GKMJの断面は青い正方形、C-EIMLの断面は赤い正方形になるので
2つの正方形が共有している部分は1点のみ。

○高さ2cm

図のようにA-GKMJとC-EIMLの断面はどちらも黒い斜線部の1辺の長さ2cmの正方形

○高さ0cm

図のようにA-GKMJの断面は青い正方形、C-EIMLの断面は赤い正方形になるので
2つの正方形が共有している部分は1点のみ。

よって図のように1辺の長さ2cmの正方形を底面とした高さ1cmの四角すいと高さ2cmの四角すいを合体させた立体になるので体積は
2×2×(2+1)÷3=4cm³

(3)
同様に地面から0cm,2cm,3cmの高さで地面と平行な面で切った断面をそれぞれ考えます。

○高さ3cm

 

C-EIMLの断面は赤い正方形、D-FJMIの断面は青い正方形になるので
2つの正方形が共有している部分は3/2cmの黒の1辺

○高さ2cm

図のようにA-GKMJとC-EIMLの断面はどちらも黒い斜線部の1辺の長さ2cmの正方形

○高さ0cm

図のようにA-GKMJの断面は青い正方形、C-EIMLの断面は赤い正方形になるので
2つの正方形が共有している部分は1点のみ。

よって図のように断頭三角柱を2つ合体させた立体になるので体積は

2×1÷2×(3/2+2+2)/3+2×2÷2×(3+2+2)/3=13/2cm³

(4)
(2)のA-GKMJとC-EIMLの重なる部分の立体は
(3)のC-EIMLとD-FJMIの重なる部分の立体の中に含まれる。

よって

A-GKMJを赤、B-HLMKを青、C-EIMLを紫、D-FJMIを緑としてベン図を描くと次のようになります。

13/2-4=5/2
18-4-5/2×2=9

よって赤または青または紫または緑の部分の体積は
9×4+5/2×4+4=50

求める体積は
6×6×6-50=166cm³

※ベン図を4つの円で描くと全てのパターンは出てこなくて描けない。
楕円を使うなど一般的に描ける方法は存在する。

 

今年の洛南はいくつか面白い問題もありつつ。しっかり対策すれば点数は確保できる問題もそれなりにありました。まずは難関校でよく出題される定石は固めて点数を確保しておきましょう!(畠田)

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