数理教育研究会

渋谷教育学園幕張中学校 理科 問題 解説&入試分析★2020年(R2年)第1次

今回は渋谷教育学園幕張中学の一次入試の理科を取り扱います。

【入試資料分析】
理科は
(配点,受験者平均点,合格者平均点)の順で
理科(75,48.9,57.1)
で去年に続いて更に平均点が高く、易化しました。

【問題分析】
大問1…光の問題です。(1)は少し意図がわかりにくいですが全体的にそんなに高い読解力も応用も求められておらず、標準的なテキストに載ってる鏡の光の経路を読んでいたかどうかです。問題を答えるだけなくテキストに載っている説明もよく読んでおきましょう。

大問2…生物の問題ですが、知識はほとんど求められておらず統計的なデータをどう扱うかを聞かれています。グラフで直線になるのは「死亡数が一定」、対数グラフで直線になるのは「死亡率が一定」というように数学的な考察力と高い読解力が問われました。慣れておきましょう。今回はこの(6)を扱います。

大問3…気象の問題です。基本的な知識と、よく問われそうな問題です。テキストの説明が標準的な問題をしっかり練習して点数を確保してください。

(問題)R2年 渋谷教育学園幕張中学校 一次入試 大問2(6)
昆虫Cはガの仲間で、サクラやヤナギの葉を食べる害虫として知られています。昆虫Cの幼虫は、脱皮を繰り返して7齢幼虫まで成長し、さなぎを経て成虫になります。卵から出た幼虫は意図を吐いて網状の巣を作り、集団で生活します。その後、ある齢の幼虫になると単独で生活をするようになります。単独での生活を始めると、他の昆虫や鳥に食われるので、急に死亡率が大きくなります。

ある年、昆虫Cの4287個の卵について、自然の状態での成長を追跡しました。
図4に各段階での個体数を示します。
sibumaku20r1.jpg

図4から昆虫Cについて考えられるこことして、[   ]に適するものを○で囲み、(   )を適切に補いなさい。

7齢幼虫とさなぎを比較すると、死亡数が多いのは[7齢幼虫・さなぎ]の段階である。また、死亡率が大きいのは[7齢幼虫・さなぎ]の段階である。
さなぎまでの各段階のうち、最も死亡率が小さいのは( ③ )の段階である。巣での集団生活をやめて単独での生活を始めるのは、( ④ )齢幼虫だと考えられる。

[解説]
グラフより7齢幼虫の段階では40匹から11匹までの40-11=29匹減りました。
さなぎの段階では11匹から7匹までの11-7=4匹減りました。
死亡数が多いのは7齢幼虫の段階です。

グラフの傾きが7齢幼虫の段階の方がさなぎの段階よりも大きいので,死亡率も7齢幼虫とわかります。

死亡率はグラフの傾きが対応しているので、最も死亡率が低いのは最も傾きが小さい卵の段階です

リード文から単独での生活を始めると急に死亡率が大きくなると書いてるので、単独での生活を始めるのは傾きが突然大きくなっている4齢幼虫の段階だと考えられます。

このグラフは対数グラフ(片対数グラフ)と呼ばれています。
問題文には具体的な数字の例で説明されていて,
目盛りの幅が一定であると、何倍になるのかが一定である
したがって直線であれば死亡率が一定
と読み取る高い読解力が必要となります。

まず普通のグラフにおいて
sibumaku20r2.jpg
昆虫Aのように直線になっている場合は各段階で死亡数が1665匹と一定となっています。
そして昆虫Bのように各段階でその時の個体数の70%死ぬなど死亡率が一定ということであれば直線になりません。

sibumaklu20r3.jpg

そこで個体数において常用対数(個体数が10の☐倍なら下から[1~10の幅]の☐倍の位置に目盛りをとる)をとって点を打てば直線となります。
このグラフは縦軸の幅が同じであれば、個体数が何倍になっているかも同じになっています。
したがって常に70%減るならば、減る目盛りの幅が同じになり直線になります。

対数グラフなど知っている必要はありませんが、過去問などで練習していたり、テキストの説明文はよく読んでおくようにしておきましょう。
渋幕の合格に近づくと思います、頑張ってください(畠田)

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