数理教育研究会

渋谷教育学園渋谷中学 算数 問題解説&入試分析★2020年(R2年)

今回は渋谷教育学園渋谷中学の第一回を扱います。

【入試資料分析】

第1回は男子の人数はかなり減りました。
倍率も全体的に低くなっています。

年々偏差値が上がっていっているので簡単になったというわけではないと思います。

受験者数
男子…125名
女子…251名
合計376名

合格者数
男子…41名
女子…80名
合計121名

倍率
男子…3.04倍
女子…3.12倍
全体で3.11倍

【問題分析】
大問1…(1)基本的な計算問題です、しっかりあわせましょう。(2)最初に意外とやりにくい問題がきました。答えは観で何となくわかりそうなので答えてしまってください。論理的には積は111111以下のはずと考えるなどやります。(3)非常に典型的な図形問題、素早く完答したいです。(4)食塩水の問題で、極端に難易度が低いので逆に注意してください。(5)この問題はしっかり範囲を考える必要があり、少し面倒です。(1)~(5)まで難易度がバラバラなので混乱しないよう時間配分に気をつけましょう。

大問2…今回はこの問題を扱います。

大問3…点字をネタにした場合分けの問題です。去年もマイナンバーなどの検査数字をネタにした問題があり,社会生活をテーマとした問題が出題されています。
難易度はそんなに高くありませんが、読解力が試されているので注意しておきましょう。

大問4…回転体の体積の問題です。渋渋の過去問でも結構出されいるので、しっかり練習して満点を狙いましょう。

(問題)R2 渋谷教育学園渋谷中学 算数 大問2
1辺の長さが4cmである正方形と,1辺の長さが6cmである正方形が1つずつあります。1つの角Aを共通になるように置き,正方形の他の頂点を図のように点B,C,D,E,F,Gとします。
点Pは最初,点Bにあり,秒速1cmで正方形ABCDの辺を
B→A→D→C→B→A→D→C→B→…
のように動き続けます。
点Qは最初,点Fにあり,秒速1cmで辺EFを
F→E→F→E→…
のように動き続けます。

点Pと点Qは同時に出発します。次の問いに答えなさい。
shibushibu20m1.jpg

(1)点Pと点Qが,初めて両方とも最初と同じ位置になるのは,出発してから何秒後ですか。

(2)点Qから点Pに向かって限りなくのびる直線をかきます。この直線が正方形ABCDと正方形AEFGの面積を両方とも二等分するのは,出発してから10分間で何回ありますか。

(3)三角形CPQの面積が正方形AEFGの面積の半分になるのは,出発してから何秒後ですか。出発してから1分間のものをすべて答えなさい。ただし,解答欄はすべて使うとは限りません。また出発時は含めないものとします。

[解説]
(1)Pは16秒で1周,Qは12秒で1往復なので,16と12の最小公倍数を考えて48秒後です。

(2)
二等分するのはPがAまたはC,QがFの時です。
shibushibu_2020_m2-kaisetu1.jpg
表より二等分されるのは何秒後かというと
12,36,60,…
で12が初項の公差24の等差数列となります。
よって10分では
(600-12)÷24=24余り12より24+1=25回

(3)実際にはPやQが頂点についた時を調べていって考えてみましょう。
ここでは論理的な解説を書いたとすると
shibushibu_2020_m2-kaisetu2.jpg
点Pを通りAEに垂直な直線と線分FGとの交点をRとすると三角形GPQの面積は
(線分PRの長さ)×6÷2
となります。

そして三角形GPQの面積が最大、つまり(線分PRの長さ)=6cmが最大になると正方形AEFGの面積の半分である6×6÷2=18cm^2となります。
ということは点Pが辺AB上にある必要があることがわかります。

すると次の二つの場合あることがわかります。

1、点Pが辺AB上で,点Qが点Fにある場合
shibushibu_2020_m2-kaisetu3.jpg

2、点Pが辺点Aにある場合
shibushibu_2020_m2-kaisetu4-3.jpg

それぞれ表より
shibushibu_2020_m2-kaisetu5.jpg

4秒後,20秒後,36秒後,48秒後,52秒後

この問題は、動く点の問題でよく使う整理の仕方と、どのように移り変わっていくか実験してみて掴むことが必要です。ぜひPやQが各頂点にきたときを調べて移り変わりを追ってみてください。その上で,解説に書いたように論理的な考察もしてみてください。(畠田)

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