数理教育研究会

灘中学校 算数(1日目)2020(R2)入試分析

数理教育研究会の畠田和幸です。

令和になって初の入試になります。
今年も解説をすることになりました。
よろしくお願いします。

最初は灘中学校の1日目です。

【入試資料分析】
今年の実質倍率は2.98です。
ここ数年ではもっとも多くなりました。
(H24)2.81(H25)2.81(H26)2.97(H27)2.61
(H28)2.67(H29)2.76(H30)2.88(H31)2.70(R2)2.98

次に平均点です。
昨年の算数が第1日目,2日目ともにここ数年で平均点が一番低かったのですが、今年の算数は第1日目,2日目ともにここ数年で平均点が一番高くなりました。
受験者平均点と合格者平均点の差も一番大きくなり、算数で差がつきやすかったようです。

(教科,受験者平均点,合格者平均点)の順に
(国語1日目,54.3点,58.1点)
(国語2日目,75.2点,79.9点)
(国語合計,129.5点,138.0点)
(算数1日目,55.4点,72.0点)
(算数2日目,55.4点,71.2点)
(算数合計,110.8点,143.2点)
(理科,57.3点,66.7点)
(総合,297.6点,347,9点)

算数は去年と比べて典型的な問題が多く、計算もそんなに複雑ではなくかなり簡単になったという印象です。
しかしそれほど点数は高くないので、焦りやミスなど実際に点数をとるのは難しかったと思われます。
マニアックな問題の知識よりも、普通の問題を早く正確に解ける誤魔化しのきかない高い実力を求められています。

【問題分析】
大問1…簡単な計算問題です。

大問2…消費税が8%から10%になったことをネタにした基本的な範囲の問題です。

大問3…時間が同じときは速さと距離は比例するという速さのよくある問題です。

大問4…カレンダーの問題です。4週ある曜日と5週ある曜日に注目します。

大問5…2018年度の大問3をやっていれば,単にそのまま並べればいいわけではなく2桁になった場合は法則性が変わってくる
ことに気づいたかもしれません。

大問6…時計算の問題です。1分に何度回転するか考えます。

大問7…典型的な比で長さを求める問題です。

大問8…直角三角形の相似などを使っていく、よくある問題を少しし複雑にした問題です。

大問9…この問題を扱いと思います。

大問10…回転体の問題です。相似な直角三角形などで長さを求めて回転させる、よくある問題です。

大問11…灘恒例の展開図ですが、元の立体を描いてとらえることはそう難しいわけではありません。

(問題)R2 灘中学校 算数第1日 大問9
nada2011m.jpg
右の図において,AB,CEの長さはどちらも8cmで,印○をつけた角の大きさは等しいです。このとき,四角形ACDEの面積は三角形ABCの面積の[   ]倍です

[解説]
R2nada9.jpg
△ABCは8cmと5cmとその間の角度が○
△CEAは8cmと9cmとその間の角度が○

なので面積の比は△ABC:△CEA=5:9とわかります。

△ABC≡△CEFとなるように辺EA上にEF=5cmとなる点をとるとCA=CFとなる。

すると△CFAは二等辺三角形となり点Cから辺AFに垂線CHをおろすと
FH=AH=4÷2=2cm
となる。

EH=5+2=7cmなので直角三角形CDEと直角三角形EHCは斜辺と他の1辺が等しいので合同となる。
△ABC=[5],△ACE=[9]とおくと△CEF=([9]-[5])÷2=[2]
よって△CDE=△EHC=[5]+[2]=[7]
したがって四角形ACDE=[7]+[5]+[4]=[16]

よって四角形ACDEは△ABCの[16]÷[5]=16/5倍

この問題は合同な三角形を描いてみたり、二等辺三角形を作ったりなど難問を解くときに使う方法の問題です。
おそらく∠DEAが90°には見えないようにわざと描かれていて、こういう場合の練習にもなります。
色々なパターンを経験して練習していくことで解ける確率があがっていくので頑張ってください!(畠田)

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