数理教育研究会

灘中学校 算数(2日目)2020(R2)入試分析

今回は灘中学校算数第2日目です。

【入試資料分析】
算数第2日目と1日目と同じでここ数年で一番平均点が高くなりました。
そうなると平均点55.4点に対して合格者平均71.2点と差が16点ほどあり,1日目と同じく算数は大きく差がついたと思われます。

問題も全体的にどこかの類題であることが多く、計算が簡単な問題が多かったので、きっちり練習してきた人はズバズバ解けたかもしれません。
関東の学校で出された類題も多いので、色々な学校の問題をやっておきたいところです。

【問題分析】
大問1…旅人算ですが,関東の学校で多いダイアグラムで処理する問題です。おもいっきり誘導されているので間違えずに正確に早く解きたいところです。

大問2…マイナンバーのチェックディジット、検査数字を元ネタに作られた問題ですがこれは昨年の渋谷教育学園渋谷でも出題されています。
やったことなくても難しくはありませんが、やったことあった人の方が落ち着いて対処できて有利だったと思います。

大問3…時計ではありますがN進法の応用問題で、練習してきた人も多いと思います。

大問4…輪の通過範囲の問題です。よく勉強している人は類題をやったことある状態で受けられたと思います。

大問5…(1)は断面が正六角形の切り方を考える。(2)はA,B,Gを通る平面と直線PQとの交点を面BFFCから見て考える。など渋幕でもよく見られる難易度は高めですが切断の典型パターンが使えるので練習しておきたいところです。(3)を解説したいと思います。

(問題)R2年 灘中学校 第2日 大問5
右の図は,1辺の長さが6cmの立方体ABCD-EFGHです。Pは辺ABの真ん中の点,Qは辺FGの真ん中の点,Rは辺GHの真ん中の点です。この立方体を3点P,Q,Rを通る平面で切ったとき,この平面は辺ADの真ん中の点Sを通ります。
20nada2m1.jpg
(1)四角すいC-PQRSの体積を求めなさい。

(2)3点A,B,Gを通る平面で四角すいC-PQRSを2つの立体に分けたとき,点Qを含む方の立体の体積を求めなさい。
20nada2m2.jpg

(3)3点B,D,Fを通る平面で四角すいC-PQRSを2つの立体に分けたとき,その切り口の面積は,四角形BFHDの面積[   ]倍で,点Qを含む方の立体の体積は[   ]cm^3です。
20nada2m3.jpg

[解説]
(3)
2020灘2日目 1
切り口の面積が四角形BFHDの何倍かを求めさせられます。

ということは,この四角形BFHDがある平面上にある面を底面と考えて,Cを頂点とするすい体を考えてみます。
四角すいC-JKLIと,四角すいC-BFHDは高さが共通になり,底面積の比から体積が求めることができます。
このことを使うとやりやすいのではないかと予想ができます。

それではまず点Jと点Iは線分BDのどの位置になっているかを調べましょう。

2020灘2日目 2
図2のように面ABCDを考えます。

するとJB:JD=BP:DC=1:2。同様にBI:DI=2:1なのでBJ:JI:ID=1:1:1とわかります。

次に点Kと点Lは線分PQ,線分SRのどの位置になっているかを調べてみようと思います。
2020灘2日目 3
図3のように真上から見たら図を考えます。
するとそれぞれの中点になっています。

更に線分KLは線分BDの半分の長さであることもわかります。

2020灘2日目 4
これらのことから図4のように比をおけて
台形÷四角形BFHD={(4+6)×1÷2}÷(2×12)=5/24倍
と計算できます。

体積は四角すいC-JKLIを考えると残りの部分の四角すいC-KQRLは四角すいC-PQRSの体積54cm^3の半分なので四角すいC-JKLIと四角すいC-KQRLに分けて考えると良さそうです。

四角すいC-JKLIの体積は,まず四角すいC-BFHDの体積を求めて5/24倍します。

(四角すいC-BFHD)=(三角柱BCD-GHF)-(三角すいC-FGH)
=(立方体ABCD-EFGH)÷2-(三角すいC-FGH)
=6×6×6÷2-6×6÷2×6÷3=72

よって求める面積は
72×5/24+54÷2=42cm^3
とわかりました。

この問題はすい体の体積を底面積の比を使ったり,平面に落として考えたりなど切断のパターンの練習になります。
渋幕など類題も多いのでしっかり解いて考察しておけば努力が反映さて、合格に近づきます。
がんばってください(畠田)

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