数理教育研究会

西大和学園中学校 入試分析 算数 2021(R3)

今回は西大和学園中学を扱います

【入試資料分析】
受験者→合格者(倍率) 合格最低点
男子:1047人→476人(2.2倍) 345点
女子:245人→70人(3.50倍) 363点

今年は女子の合格者が例年より多めの年になりました。

【問題分析】
大問1…基本的な問題であり、早く正確に答えて満点をとりたい。

(1)(2)計算問題、確実に合わせたい。

(3)5で何回割り切れるかということで、0が何個続くかの問題の応用。

(4)基本的な比の問題。

(5)濃度の問題、特に問題ないはず。

(6)(距離の比)は(速さの比)×(時間の比)など利用する旅人算。

大問2…(1)等積変形で扇形にできる。わかりやすい。

(2)…(あ)=∠BCA+∠PCH-∠PCA。難関校で出題されることが多く、点数をとりたい。

(3)高さを求めないといけないので、合同な三角形などがあって高さがわかるのではない
かと言う難関校で出題されやすいパターン。

(4)三角すいは立方体から切り落とし、四角すいは(3)でやっている。
数式になってきて、ここまでこれば実際には√2の問題。

大問3…(1)整数を並べる場合の数の問題。問題文がわかりにくく、訂正も多くて出ていて間違えそうなので下手に時間使わないように気を付けたい。

(2)大学受験などでもよくある典型的なタイルの漸化式の問題。
(n枚の場合)=(n-1枚の場合)+(n-2枚の場合)×2
瞬殺したいところ。

(3)∠BACの2等分線と直線BDの交点をPとすると対称性から△ABPと△ACPは合同で
△CPDも合同な三角形ができる。恐らく正方形の中に1辺を共有する正三角形を書いた図形が元ネタと思われ、難しい問題は知られている図形の一部を出すことが多く、対称性を利用することで解けることがよくある。

大問4…今回はこれを扱いたいと思います。

(問題)R2 西大和学園中学 大問4
まっすぐな道を何台かの機械が同じ速さで同じ向きに30mの距離を空けて進んでいます。機械にはセンサーがついていて2秒ごとに前の機械との距離を測定し、30mより近づいたり離れたりした場合は、測定したときの前の機械の速さを基準にして、測定してからちょうど2秒後に距離が30mになっているようにみずからの速さを調整します。

機械が速さを変えるのは、前の機械との距離を測定して速さを決めるときだけで、測定が行われて、速さが決まれば、次の測定までの2秒間はその速さを変えることなく進みます。先頭の機械は測定を行いません。

また、後ろの機械が前の機械との距離を測定するのは、前の機械が速さを変えてから1秒後となるように、前の機械が速さを変える時刻と後ろの機械が測定する時刻をずらしています。

例として、下の図のように機械Aと機械Bが同じ向きにどちらも秒速20mで進んでいるときを考えます。秒速20mで進んでいた機械Aが、ある時刻に秒速15mに速さを変えると、その1秒後に、機械Aと機械Bとの距離は25mとなります。機械Bはその距離と機械Aが秒速15mで進んでいることを測定して、測定してから2秒後に機械Aとの距離がちょうど30mになっているように、秒速12.5mに速さを調整します。

ただし、機械Bが測定した1秒後に機械Aの速さが変わるかもしれないので、機械Bが測定した2秒後に2つの機械の距離がちょうど30mになっているとは限りません。

なお、機械の大きさ、測定するためにかかる時間、速さを変えるためにかかる時間は考えないものとします。

(1)上の例において、機械Bが速さを調整した1秒後に機械Aが再び速さを秒速20mに変えたとき、機械Aが最初に速さを変えてから3秒後について考えます。このとき、次の問いに答えなさい。

①機械Aと機械Bとの距離は何mですか。

②機械Bは秒速何mに速さを調整しますか。

後ろの機械が、前の機械に近づきすぎて、速さを変えても2秒後に30mの距離を空けられない場合は、その場で2秒間停止します。2秒後に前の機械との距離が30m以上であれば再び進み始め、30m未満であれば30m以上になるまで、2秒間停止を繰り返すようになっています。

(2)機械Aと機械Bが30mの距離を空けて、同じ向きに秒速20mの速さで進んでいます。秒速20mで進んでいた機械Aが、ある時刻に速さを秒速5mに変えると、機械Bは機械Aが速さを変えてから1秒後に停止しました。機械Aは最初に速さを変えてから4秒後に今度は秒速15mに速さを変えました。このとき、次の問いに答えなさい。

①機械Bが再び動き出すのは機械Aが最初に速さを変えてから何秒後ですか。

②機械Bが再び動き出すときの機械Bの速さは秒速何mですか。

(3)この機械がたくさん連なって、秒速20mで進んでいます。それぞれの機械と機械の間の距離は30mです。秒速20mで進んでいた先頭の機械が、ちょうど地点Pを通過したときに、秒速14mに速さを変えたところ、何台目か以降の機械が停止しました。
このとき、次の問いに答えなさい。ただし、先頭の機械は秒速14mに変えて以降、速さを変えないものとします。

①最初に停止する機械は、先頭の機械から数えて、何台目ですか。また、その停止した地点は地点Pから何m手前ですか。

②最初に停止した機械が地点Pを通過するのは、先頭の機械が地点Pを通過してから何秒後ですか。

[解説]
ひたすらに複雑です。
まず問題文を理解するということと、どのように処理して変化をあらわしていくのかが難しいところです。

そこでダイアグラムを描いてみることをここではやってみます。
ダイアグラムを描くことで問題文を把握できつつ、変化を表していくことが出来ます。

(1)

まず1秒後まではAは15m/秒で進い、Bは20m/秒で進むと1秒後にAとBは
30-(20-15)=25m
離れていることになります。

するとBは2秒間で30-25=5m距離を開けないといけないのでAよりも5÷2=2.5m/秒遅くなります。
15-2.5=12.5m/秒

しかしAは2秒後に20m/秒になるので20-15=5m距離をはなすことになり
3秒後のAとBの距離は30+5=35mとなります。

するとBは2秒間で35-30=5m距離を詰めないとけないのでAよりも
5÷2=2.5m/秒速くなります。
Bの速さは2+2.5=22.5m/秒となります。

(2)同じようにダイアグラムで整理していくと

1秒後にはAとBの距離は30-20+5=15m
3秒後にはBが止まっていても15+5×2=25mしかAとBは離れていないのでBは停止となります。
そして25mは30mより小さいので5秒後まで停止し続けます

4秒後にはAは15m/秒になるので5秒後にAとBは25+5+15=45m離れていることになります。
よってBは2秒間で45-30=15m距離をつめないといけないのでAよりも15÷2=7.5m/秒速くなります。
15+7.5=22.5m/秒

(3)同様にしてダイアグラムを描いていくと図のようになります。

 

最初に停止する機械は紫の前から4台目で停止した地点は地点Pから30m手前。

図より紫が地点Pを通過するのは5秒後から7秒後の間の19.75m/秒で進むときなので
5+30÷19.75=515/79秒後

基礎的な問題から難関校でよく出題されるという問題が多く、勉強をよくしてきた人にとっては大問4以外では取り組みやすい問題ではあったと思います。
大問4でも練習量で整理の仕方などに差がついてくると思います。
しっかり難関校で出されやすい問題を練習しておくことが安定した点数につなっていきます。頑張ってください(畠田)

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