数理教育研究会

甲陽

【YouTube動画】灘・甲陽 分析 2021年度

2021年度灘・甲陽入試分析をアップしました

甲陽中学校 算数(2日目) 2021(R3)入試分析

甲陽学院中学算数2日目の問題をとりあげます。

1日目の記事で書いたように2日目の平均点はここ数年では一番高くなりました。

高い得点率での勝負になります。

【問題分析】
大問1…(1)基本的な場合の数。あわせたい。(2)正誤問題です、倍数の基本的な内容なのであわせたい。

大問2…これ以上約分できない分数の総和の問題。(1)(平均値)×(個数)で素早く求めたい。(2)色々な解法があると思いますが1,2,3,…,12のうち12と互いに素なのは1,5,7,11の4つなので区間が1大きくなると4ずつ大きくなっていくなど方法があります。

大問3…直方体の切断。かなり普通の問題なのできっちりあわせたい。

大問4…平面図形の相似などを利用した標準的な面積の問題。あわせたい。

大問5…旅人算の問題。今回はこれを扱います。

大問6…普通の8進法の問題。瞬殺したい。

それでは大問5にいきます。

(問題)R3 甲陽学院中学校 算数(第2日) 大問5
太郎君と次郎君が午前7時に家を出発し、歩いて公園に向かいました。太郎君の歩く速さは次郎君の歩く速さの1.2倍です。午前7時44分に忘れ物に気づいた太郎君は走って家に戻る途中、A地点で次郎君とすれちがいました。午前8時8分に家に着いた太郎君はすぐに公園に向かい同じ速さで走り出しました。その後、太郎君がふたたびA地点に来たとき、次郎君はその2975m先にいました。
(1)太郎君が次郎君とすれちがった時刻は午前何時何分何秒ですか。

(2)太郎君の走る速さは分速何mですか

[解説]
(1)
まず状況図を描いてみます。

太郎君と次郎君の歩く速さの比は1.2:1=6:5

また太郎君は家から折り返し地点まで歩いて
7時44分-7時=44分
折り返し地点から家まで走って
8時8分-7時44分=24分
より道のりが同じ時、速さの比は時間の逆比になるので
太郎君の歩く速さと走る速さの比は24:44=6:11

同じ時間では道のりは速さに比例するので太郎君が○から☐まで進んだ距離を⑥とすると次郎君が○から☐のところまで進んだ距離は⑤

⑥を太郎君は歩くと44分かかる
走っている太郎君と次郎君が向かい合って進んで⑥-⑤=①の距離を進んですれ違うのにかかる時間は
(太郎君の歩く速さ):(太郎君の走る速さ+次郎君の歩く速さ)=6:(11+5)=3:8
より
44×1/6×3/8=11/4
したがってすれ違った時刻は
7時44分+11/4分=7時46分45秒

(2)

×から△まで8時8分-7時46分45秒=85/4分
よって×から☆までは85/4×2=85/2分かかる

次郎君は2975mを85/2分で進むので太郎君の走る速さは
2975÷85/2×11/5=143m/分

状況図を描いて甲陽らしい流れではありましたが、ダイアグラムを描いても機械的に解けます。困ったときはダイアグラムを描いても良いと思います。
標準的な問題は多かったですが、甲陽で出題されそうな問題ではありました。
だからしっかり対策をして点数をとって合格に近づきましょう!(畠田)

甲陽中学校 算数(1日目) 2021(R3)入試分析

甲陽学院中学算数1日目の問題をとりあげます。

【入試資料分析】
受験者数 389名→363名→350名→349名→317名→382名→369名→402名→393名→383名→380名
合格者数 218名→216名→219名→219名→215名→220名→219名→222名→220名→217名→215
実質倍率 1.78倍→1.68倍→1.60倍→1.59倍→1.47倍→1.74倍→1.68倍→1.81倍→1.79倍→1.76倍→1.77倍
例年程度の倍率となりました

各科目の得点情報は算数1日目は例年程度の易しさ、2日目はここ数年では一番高くなりました。
その影響により算数の合計得点の平均点も高くなっています。

受験者平均
国語① 64.9→49.4→63.1→62.0→56.5→53.6→55.2→56.9→63.3→53.9
国語② 59.9→59.0→69.5→49.3→60.7→59.7→52.8→60.8→64.5→55.1
算数① 56.0→49.8→60.3→62.1→58.3→58.9→62.1→63.8→60.7→61.9
算数② 54.0→56.3→61.4→53.1→47.5→54.3→58.3→40.3→50.4→63.2
理科  54.7→52.1→67.9→53.7→59.8→56.9→47.9→62.8→53.9→52.1
合格者平均
国語 132.0→114.9→138.1→117.7→125.4→119.9→117.1→125.2→133.5→116.2
算数 128.6→122.6→138.3→127.2→119.0→130.5→141.4→122.6→129.0→143.8
理科 58.8→58.1→71.7→57.1→59.8→60.6→53.3→67.6→58.6→56.4

算数の(①の平均点)+(②の平均点)は
110.0→106.1→121.7→115.2→105.8→113.2→120.4→104.1→111.1→125.1
これと合格者平均との差は
18.6→20.5→16.6→12→13.2→17.3→21→18.5→18→18.7

例年程度に差のつく試験であったと言えます。

【問題分析】
大問1…(1)計算問題。2021=43×47ネタはやはり出ていきます。(2)二等辺三角形を利用していく角度の問題で、典型的な問題の少し応用程度です。

大問2…仕事算の典型題。素早く完答したい。

大問3…正射影する問題。今回は(2)を扱います。

大問4…甲陽でよく出題される整数を数える問題。(2)は3種類の数字どの組み合わせも12個というアプローチをとることができると早く解ける。

大問5…平面図形の問題。特別難しいわけではないような難関校レベルでの標準的な図形問題を練習しておけば特に問題はない。

大問6…旅人算。甲陽なので高度な解法が必要と見せかけて、情報を整理すると一つ一つ求まり意外と簡単な方法しか使わない。

それでは大問3(2)にいきましょう。
正射影するところがポイントです。

(問題)R3 甲陽学院中学校 算数(第1日) 大問3(2)
図のような、立方体の各辺の真ん中の点を結んで出来た立体Xがあります。


(2)BN:NE=1:2となるように辺BE上に点Nをとります。点Nを通り、面BCFに平行な平面で立体Xを切断するとき、立体Xの断面積は面BCFの面積の何倍ですか。

 

[解説]
これは面BCFを含む平面に正射影して考える定番の方法があります。
面BCFに垂直な方向で見るわけです。

正八面体である面に垂直に見ると正六角形になるという解法がありますが、同じように考えてくれたらよいです。

すると面BCFに垂直な方向で見ると立方体であった部分は図の破線部の正六角形になります。

そして青で囲まれた部分が立体Xの断面になります。

この面BCFに垂直な方向で見た図における2つの赤い三角形は合同になっているので
BC=③
とすると
AE=③
であり
BN:BE=1:(1+2)=1:3よりMN=①となります。


ということは断面は図のように1辺の長さ⑤の正三角形から1辺の長さ①の正三角形を三つ取り除けばよいので
(5×5-1×1×3)÷(3×3)=22/9倍とわかりました

解法が思いつかなさそうな難しい問題などは特にはありませんでしたが思ってたほど平均点は高くなりませんでした。しっかり対策して普通の問題をばっちり解けるようにすればそれだけ報われて合格者平均をこえることができる試験であったと思います!がんばってください!(畠田)

甲陽中学校 算数(2日目) 2020(R2)入試分析

甲陽学院中学算数2日目の問題をとりあげたいと思います。

1日目の記事に書いたように平均点は
54.0→56.3→61.4→53.1→47.5→54.3→58.3→40.3→50.4
とほぼ例年通りになりました。

【問題分析】
大問1…(1)は計算問題です。(イ)は(ア)を利用しろ言わんばかりです。(2)は9倍がほとんどの数が桁が大きくなったりなど、絞りやすいのできっちり合わせたいところです。

大問2…ベン図を描いて例えば3つもらった人をAとあらわすと他のところは全てAであらわせます。算数的な解法としては三つ出来るだけ重なった場合や,重ならなかった場合を考えればよいです。難しいわけではありませんが、ごり押しでできるので合わせておきたいところです。

大問3…距離が同じ場合は時間は速さの逆比になるということを使います。追いこしは差の速さを考えたいので,いったんT-U間を距離2倍で考えても良いと思います。T-U間の処理が少し複雑になるだけで旅人算の難易度としては低いので点数をとりましょう。

大問4…1×2×3×…×2020は下から0がいくつありますか?という問題と同じです。5で何回割り切れるかということをやっているという意味を考察しておく必要があります。

大問5…フラフープの問題です。ちょうど今年は灘でもフラフープの問題が出ました。きっちり練習して類題をやった状態に持っていきましょう。

大問6…今回はこれを解説します。


(問題)R2 甲陽学院中学校 算数(第2日) 大問6
底面の半径が3cm,高さが14cmの円柱があります。この円柱の下側の底面の円周上の点Aから,点Aの真上にある上側の底面の円周上の点Bまで,側面に糸をたるまないように巻き付けます。今,点Aから点Bまで,青い糸を上から見て時計回りにちょうど3周,赤い糸を上から見て反時計回りにちょうど4周,それぞれ巻き付けました。
kouyou220m1.jpg

(1)青い糸と赤い糸は何回交わりますか。ただし,2点A,Bは除きます。

(2)2点A,Bを除く,青い糸と赤い糸が交わった点に,高さの低い方から順に①,②,③,…と番号をつけます。そして①と③,②と④,③と⑤,…と,ひとつとばしの番号の点と点を,それぞれ側面上でもっとも短く,たるまないように青い糸で結びます。次に赤い糸をはずします。最後に側面上で青い糸で囲まれた部分に青い色をぬります。このとき色をぬった部分の面積を求めなさい。ただし,円周率は3.14とします。

 

[解説]
(1)青い糸と赤い糸の交点を次のように読みかえします。
足裏に青いインクをつけたアリと,足裏に赤いインクをつけたアリを考えてインクの跡が糸と考えます。
真上から見ると,青アリと赤アリは同じ地点から同時に青アリは時計回りに3周,赤アリは反時計回りに4周進んで、この2匹のアリが出会った点が交点に対応します。

よって出会った回数は3+4-1=6回

(2)このような糸の問題は展開するのがよくあるアプローチです。
青い糸はABを3等分した点を結んでいけばよいことになりますね。

この上から赤い糸を描いても考察してもいいですが,青アリと赤アリの出会あったから次の出会いまでの時間は一定です。
ということは青い糸と赤い糸の交点は青い糸を6+1=7等分することになります。

2020甲陽2日目6-1 (1)

青い糸の1周分の長さを[7]とすると交点は図のようになります。

よって緑の平行四辺形と緑の中の紫の斜線部の台形との比は高さは共通なので
(上底)+(下底)の比を考えて

([7]+[7]):(([1]+[3])+([2]+[3]))=14:9

緑の平行四辺形の面積は
(2×3×3.14)×(14÷3)=3.14×28 cm^2

よって紫の面積は緑の中のを2倍して
(3.14×28×9/14)×2=113.04cm^2

この問題は似たような問題で使った解法は使えないか練習していくことで、アプローチが出来るようになっていくと思います。普段から試行をしてみて練習をしましょう。
がんばってください。(畠田)

甲陽中学校 算数(1日目)2020(R2)入試分析

甲陽学院中学算数1日目の問題をとりあげたいと思います。

【入試資料分析】
受験者数 389名→363名→350名→349名→317名→382名→369名→402名→393名→383名
合格者数 218名→216名→219名→219名→215名→220名→219名→222名→220名→217名
実質倍率 1.78倍→1.68倍→1.60倍→1.59倍→1.47倍→1.74倍→1.68倍→1.81倍→1.79倍→1.76倍
少し高めの倍率となりました。

各科目の得点情報は算数1日目は例年程度、2日目は去年がかなり低かったですが今年は少し低めな程度になりました。

受験者平均
国語① 64.9→49.4→63.1→62.0→56.5→53.6→55.2→56.9→63.3
国語② 59.9→59.0→69.5→49.3→60.7→59.7→52.8→60.8→64.5
算数① 56.0→49.8→60.3→62.1→58.3→58.9→62.1→63.8→60.7
算数② 54.0→56.3→61.4→53.1→47.5→54.3→58.3→40.3→50.4
理科  54.7→52.1→67.9→53.7→59.8→56.9→47.9→62.8→53.9
合格者平均
国語 132.0→114.9→138.1→117.7→125.4→119.9→117.1→125.2→133.5
算数 128.6→122.6→138.3→127.2→119.0→130.5→141.4→122.6→129.0
理科 58.8→58.1→71.7→57.1→59.8→60.6→53.3→67.6→58.6

算数の(①の平均点)+(②の平均点)は
110.0→106.1→121.7→115.2→105.8→113.2→120.4→104.1→111.1
これと合格者平均との差は
18.6→20.5→16.6→12→13.2→17.3→21→18.5→18

それなりに算数は差がついたように思います。

【問題分析】
大問1…(1)は計算問題。(2)は角度の問題。どちらもかなり基本的でした。

大問2…(1)正方形はお決まり。長方形は縦の辺になる2本,横の辺になる2本の選び方です。今回はこの(2)を扱いたいと思います。

大問3…正三角形と比の問題でよく練習してきたと思います。(2)は少し複雑になりますが答えをしっかりあわせたいところです。

大問4…変態メーターの問題です。(1)は辞書式順列で数学でもよく出題されます。(2)は各桁ごとにその桁が何回あらわれたか計算でよく練習させられてきたと思います。

大問5…旅人算の問題ですが華麗なテクニックで解くタイプではなく,文章を正確に読み取りダイアグラムなどで把握することが問われた問題でした。

大問6…切断の応用問題です。やることは切断の問題と同じです。

(問題)R2 甲陽学院中学校 算数(第1日) 大問2
次の(1),(2)の図は同じ大きさの正方形を並べたものです。この図の中に正方形,長方形(正方形をふくむ)は,それぞれ何個ありますか。
(1)

kouyou20m1.jpg

(2)

kouyou20m2.jpg

[解説]
(1)の略解
正方形は
25+16+9+4+1=55個

長方形は
(6×5)/(2×1)=15,15×15=225個

(2)
・正方形の個数
(1)で数えた正方形のうち左下のマスと右下のマスを使ったものを取り除きます。

2020甲陽1日目2-1

1×1の正方形は赤の2個
2×2の正方形は青の2個
3×3の正方形は緑の2個
4×4の正方形は紫の2個
5×5の正方形はピンクの1個
よって55-(2+2+2+2+1)=46個

・長方形の個数
(1)で数えた長方形のうち左下のマスと右下のマスを使ったものを取り除きます。

2020甲陽1日目2-2

左下のマスを使ったものは図のように赤の2本と青と緑から1本ずつ選んで5×5=25通り
右下のマスを使ったものも同様に25通り

2020甲陽1日目2-3

左下と右下のマスを両方つかったものは図のように赤の3本と青から1本選んで5通り
よって225-(25+25-5)=180個

典型の問題から少し工夫している問題です。このような典型から崩された問題は、実際に数え上げようとしてみることでアプローチの仕方が見つかっていくと思います。
頑張ってください(畠田)

甲陽中学校 算数(2日目) 2019(H31)入試分析

甲陽算数第一日に続いて第二日をとりあげたいと思います。

前回の第一日の記事でも書いたように平均点が
54.0→56.3→61.4→53.1→47.5→54.3→58.3→40.3
と近年ではかなり低く、難しい試験になりました。

しかし奇問であるというわけではなく、わかりやすく典型的なお題ではあったのでしっかり勉強してると差をつけることができたと思います。
ハイレベルな典型問題をしっかりやりこんでいきましょう。
第二日の目標は6割です。

【問題分析】

○大問1
どちらもレベルが高めの典型問題の解法を使う問題です。
しっかりあわせたいです。
(1)アはブーメラン型に見えるので,ア=72°+○+●を考えると○+●を求めればよくなります。○○+●●+72°=180°より○+●=54°とわかりア=72°+54°=126°です。また△+×=(180°-94°)÷2=43°で,三角形の外角を考えるとイ=72°+○より同様にして
イ+ウ+エ+オ=72°+○+72°+●+94°+△+94°+×=429°
(2)連続する整数の和に分解する方法は
○(真ん中の整数)×(奇数個)
○(真ん中2つの整数の平均値)×(偶数個)
の二つでした。
連続する個数が最も多くなるのは
1000=2×2×2×5×5×5
より奇数個の時は5×5=25個,真ん中の整数2×2×2×5=40
偶数個の時は2×2×2×2=16個,真ん中2つの整数の平均5×5×5÷2=62.5で奇数個の方が多くなり,一番小さい数は40-12=28,一番大きい数は40+12=52とわかります。

○大問2
レベルが高い問題集に載ってるような典型問題です。よく勉強している人はばっちりとれたと思います。
(1)
kouyou_2019_2_m2-kaisetu1.jpg
図のようにダイアグラムをかくと点対称になっていることがわかります。
これがこの問題のポイントです。
なのでAとBが1回目に出会った時はQから17.5kmの地点なのでPから42-17.5=24.5kmです。
(2)24.5:17.5=7:5より上りと下りの速さの比は5:7です。
したがって図のように比がわかって
[5]+[7]-[7]×5/12=327分より[1]=36なので[5]+[7]=432分=7時間12分より8時12分とわかります。
(3)上りは[7]×5/12=35分で17.5km進むので17.5÷(105/60)=10km/時
下りは10×7/5=14km/時より静水時の船の速さは(14+10)÷2=12km/時,川の流れの速さは(14-10)÷2=2km/時

○大問3
よく見かける問題ですが(2)はAからBなどに直行しても時間があまるところに気を付けて解く必要があります。しっかりあわせて得点を稼いでおきたいところです。
(1)Aを扇型ABCが三つより10×10×3.14×60°/360°×3=157cm^3とわかります。
(2)
kouyou_2019_2_m3-kaisetu1.jpg
Aから面ABCを通っていく場合,青色のところのようにBやCに到達すると5秒余るので台に5cmの円がそれぞれでき,BCを通過してまっすぐ進むと半径15cm,中心角60°の扇形になります。他の二面も考えると図のようになり
半径5cmで中心角60°の扇形が3つと,半径15cmで中心角60°の扇形3つより
5×5×3.14×60°/360°×3+15×15×3.14×60°/360°×3=392.5cm^2

○大問4
図形を回転させる問題です。
回転の中心となる点からの距離が最大と、最小を考える解法を勉強して身についているかどうかです。
勉強の成果は反映されやすい問題です。
(1)
kouyou_2019_2_m4-kaisetu1.jpg
操作①において点Dからの棒までの距離が最大の点の回転は赤色と緑色,最小の点の回転は青色の線になります。
面積は4×4×3.14÷2-4×4÷2×3.14÷4-4×2÷2×2=10.84cm^2
(2)
kouyou_2019_2_m4-kaisetu2 (1)

操作③において点Fからの棒までの距離が最大の点の回転は赤色.最小の点の回転は青色の線になります。
面積は10.84÷2+4×4×3.14÷4+4×4÷2+8×8×3.14÷4-8×8÷2×3.14÷4=51.1cm^2

○大問5
今回はこの問題をとりあげます。

○大問6
複雑ではありますが,影の問題をしっかり勉強して解法を駆使すればきっちり解ける問題です。
(1)
kouyou_2019_2_m6-kaisetu1.jpg

Pの高さとピラミッドの頂点の高さの比は120:60=2:1より,Pから頂点までの線分を二倍に伸ばして影の頂点に対応する点を考えて,影は赤い三角形となります。
30×60÷2=900m^2

(2)
kouyou_2019_2_m6-kaisetu2.jpg
ドローンがQにいるときを考えると,Qの高さとピラミッドの頂点の高さn比は90:60=3:2より,Pから頂点までの線分を三倍に伸ばして影の頂点に対応する点を考えて,影は緑の三角形となります。
よってドローンがPからQまで移動すると,影の頂点に対応する点が紫の線分のようになり,紫の斜線部の面積を求めて
150×150-60×60-150×90÷2-60×150÷2=7650m^2

大問5をとりあげます。
どれが重複していて、引くことで何が欠けるかなど考えるとややこしくなり頭が痛くなりそうです。
しかしサイコロ2個振る問題のようにまず表を書いていって規則性の問題のように対処すると,頭を痛めずに求められます。
色々な処理を吸収していきましょう!

(問題)H31 甲陽学院中学校 算数(第1日) 大問5番
A,Bはともに1以上100以下の整数とします。次のようになるA,Bの選び方は何通りありますか。ただし,例えばAが1, Bが3の場合と,Aが3,Bが1の場合とは別の選び方とします。また,AとBが同じ数である場合もふくみます。
(1)AとBの積が3の倍数となる選び方。

(2)AとBの積が9の倍数となる選び方

(3)AとBの積が27の倍数となる選び方。

[解説]
(1)1以上100以下には3の倍数が100÷3=33余り1より33個なので
(Aが3の倍数)+(Bが3の倍数)-(AとBともに3の倍数)=33×100+33×100-33×33=5511通り

(2)
kouyou_2019_2_m5-kaisetu1.jpg

1以上100以下には9の倍数が100÷9=11余り1より11個
表より
Aが9の倍数またはBが9の倍数になるところは
11×100+11×100-11×11=2079個
Aが3の倍数かつBが3の倍数になるところは33×33=1089個

赤い重複になっているAとBともに3の倍数で少なくとも一方は9の倍数になるところは
33×11+33×11-11×11=605個

よって
2079+1089-605=2563通り

(3)
kouyou_2019_2_m5-kaisetu2.jpg
1以上100以下には27の倍数が100÷27=3余り19より3個
表より
AとBともに3の倍数で少なくとも一方は9の倍数になるところは605個

Aが27の倍数またはBが27の倍数になるところは
3×100+3×100-3×3=591個

図の赤い重複になっている,AとBともに3の倍数で少なくとも一方は27の倍数になるところは
33×3+33×3-3×3=189個

よって605+591-189=1007通り

(畠田)

甲陽中学校 算数(1日目) 2019(H31)入試分析

甲陽学院中学算数1日目の問題をとりあげたいと思います。

【入試資料分析】
受験者数 389名→363名→350名→349名→317名→382名→369名→402名→393名
合格者数 218名→216名→219名→219名→215名→220名→219名→222名→220名
実質倍率 1.78倍→1.68倍→1.60倍→1.59倍→1.47倍→1.74倍→1.68倍→1.81倍→1.79倍去年に引き続き今年も例年より高めの倍率となりました。

各科目の得点情報は算数1日目は平均点が高かったですが2日目の平均点はかなり低くく1日目と2日目の問題の難易度の差が激しい結果になりました。
受験者平均
国語① 64.9→49.4→63.1→62.0→56.5→53.6→55.2→56.9
国語② 59.9→59.0→69.5→49.3→60.7→59.7→52.8→60.8
算数① 56.0→49.8→60.3→62.1→58.3→58.9→62.1→63.8
算数② 54.0→56.3→61.4→53.1→47.5→54.3→58.3→40.3
理科  54.7→52.1→67.9→53.7→59.8→56.9→47.9→62.8
合格者平均
国語 132.0→114.9→138.1→117.7→125.4→119.9→117.1→125.2
算数 128.6→122.6→138.3→127.2→119.0→130.5→141.4→122.6
理科 58.8→58.1→71.7→57.1→59.8→60.6→53.3→67.6

算数の(①の平均点)+(②の平均点)は
110.0→106.1→121.7→115.2→105.8→113.2→120.4→104.1
これと合格者平均との差は
18.6→20.5→16.6→12→13.2→17.3→21→18.5

結果として算数合計でも例年より低めとなりました。

しかし対策すれば解けるような問題ではあったので,算数で差をつけることも出来る試験でもあったと思います。
第一日の目標は8割です。

【問題分析】
○大問1
基本問題のうち捻ったものがうまく出題されています。
正解してほしいところです。
(1)
kouyou_2019_1_m1-kaisetu1.jpg
点Oについて対称に弦を描けば円から正方形を取り除いた部分の4等分したものとわかります。
(10×10×3.14-10×10)÷4=53.5cm^2
今年の灘の1日目でも同じ解法が使える問題がありました

(2)上に2回,右に2回,斜めに1回進めばいいので,進み方は↑↑→→↗の並べ方と1対1に対応する。よって並べ方は↗の場所は5通り,残り4つの場所から2つ選んで↑↑を入れて
5×(4×3÷2)=30通り
数学的な解き方ですが,この解き方でなくてもどの斜めの線を通ったかで場合わけして全部足すなどして求められます。
力技で求めることも大切なことです。

○大問2
特に何もない普通のニュートン算の問題です。素早く正確にあわせておきたいです。
(1)(2)始めにたまっていた水の量を☐cm^2,排水口1つが1分で排出できる水の量を①cm^2とすると
☐=(④-270)×24
☐=(⑤-270)×16
これで(④-270)×24=(⑤-270)×16より①=135,☐=(135×4-270)×24=6480
とわかります。
(3)6480÷(135×7-270)=9.6より9.6分

○大問3
正六角形を6つに正三角形に分割して正三角形のマス目で比を考えるよくある問題です。
しっかりあわせたいですね。
(1)
kouyou_2019_1_m3-kaisetu1.jpg
青の三角形は正六角形の2/6=1/3です。
HI:BD=1:2,HIとBDを底辺と考えると高さの比は5:4になるので
18×1/3×1/2×5/4=15/4cm^2とわかります。
(2)
kouyou_2019_1_m3-kaisetu2.jpg
(緑+赤)の三角形は青の三角形と底辺が同じ長さで高さは2/3
赤の三角形は正六角形の1/24より
(18×1/3)×2/3-18×1/24=13/4cm^2

○大問4
特に何もない普通の旅人算です。
基礎をしっかり練習して素早く正確に固めておきましょう。

(1)円周の一周の長さを[90]とすると,A,B,Cは[30]ごとに等間隔に並んでる状態から出発することになります。それぞれの速さの差は
A-B [30]÷6=[5],A-C [60]÷20=[3],これらの差から
C-B [5]-[3]=[2]でCがBに追いつくのは[60]÷[2]=30分後
(2)Aの速さは[90]×10÷30=[30]/分
Bは[30]-[5]=[25]/分より[90]÷25=3分26秒
Cは[30]-[3]=[27]/分より[90]÷27=3分20秒

○大問5
よくある普通の回転体の問題です。
確実にとりましょう!
(1)
kouyou_2019_1_m5-kaisetu1.jpg
赤の三角形を緑に移動させると,相似から半径が3×4/5,高さが5cmの円柱となり
12/5×12/5×3.14×5=90.432cm^3
(2)ADを母線にした円すいの側面と,BCを母線にした円すいの側面と,ABが回転することで出来る円柱の側面の和なので
(3×12/5×3.14)×2+12/5×2×3.14×5=120.576cm^2

○大問6
間違えるとしたらこの問題です。
最後の問題で時間も少ないし焦りやすいので,規則性の問題の解き方にどれだけ慣れているかがポイントです。

(問題)H31 甲陽学院中学校 算数(第1日) 大問6番
次のように数が並んでいます.ただし,1行目には1から19までの19個の整数が並んでいます。
kouyou_2019_1_m6-1.jpg
(1)5行目の一番左の数はないですか.

(2)19行目の数は何ですか.

(3)これらの数全体の中に17の倍数は何個ありますか.

[解説]
(1)
kouyou_2019_1_m6-kaisetu1.jpg
書きくだして48になります。
このように実際書いてみて,規則性を見いだすように誘導されています。

(2)
kouyou_2019_1_m6-kaisetu2.jpg
1から5までの整数なら,(1+5)÷2=3を3-1=2回4倍して3×4×4=48
同じようにやると1から19までの整数なら,(19+1)÷2=10を10-1=9回4倍して
10×4×4×4×4×4×4×4×4×4=2621440

(3)
kouyou_2019_1_m6-kaisetu3.jpg
赤い矢印のように両端以外の整数を4倍すると2段下の整数になります。
1行目の17からは右から3個目で,4倍ずつしたのが縦に3個並びます。
2行目の17からは左から8個目で同様にして、4倍ずつしたのが縦に8個並びます。
よって17の倍数は3+8=11個とわかります。(畠田)

甲陽中学校 算数2018(H30)入試分析 (2日目

甲陽二日目の甲陽らしい旅人算の問題をとりあげます。

(問題)H30 甲陽学院中学校 算数(第2日) 大問4番
池のまわりにある1周420mの道をA,B,Cの3人がそれぞれ一定の速さで歩いて回ります。この道のある地点を3人が同時に同じ向きに出発しました。出発してから4分40秒後にはじめてAがCを追いこし,出発してから8分24秒後にはじめてAがBを追いこしました。
(1)はじめてBがCを追いこすのは出発してから何分何秒後ですか。

(2)Bがこの道を歩いてちょうど6周回る間に,Aに3回追いこされ,Cを2回追いこしました。Bの歩く速さは毎分何mと何mの間ですか。ただし,Bが6周回ったとき,AとCは出発した地点にいません。

(1)差の速さで考えます。
速さは求めなくても、比で解けますが(2)のことも考えて速さを出すことにしました。
4分40秒=14/3分でAとCの進んだ距離の差は1周の420mになるので
A-C=420÷14/3=90m/分
8分24秒=42/5分でAとBの進んだ距離の差は1周の420mになるので
A-B=420÷42/5=50m/分
したがって
B-C=90-50=40m/分
より420÷40=10分30秒
とわかります。

(2)何が一定なのかを考えることが大切です。
Bが6周回る間の時間で考えるので、時間が一定で距離が速さに比例します。

もう一つ大切なポイントは追いこした回数は周った回数の差です。

BがAに3回追いこされたということはBが6周すると,Aは6+3=9周目から6+4=10周目の間にいます。
するとAとBとA-Bの速さの比はそれぞれ次の表のようになります。
kouyou182k1.jpg
したがってBの速さは
50×6/3=100m/分

50×6/4=75m/分
の間になります。

同じようにしてBはCを2回追いこしたのでBが6周すると,Cは6-2=4周目から6-3=3周目の間にいます。
BとCとB-Cの速さの比は次の表のようになります。
kouyou182k2.jpg
なのでBの速さは
40×6/2=120m/分

40×6/3=80m/分
の間になります。

以上から80m/分と100m/分の間になります。

どういう考え方を使うことが多いか?意識して問題を練習をしていけば解法が見えてくることがあるのでたくさん勉強してください(畠田)

甲陽中学校 算数 (1日目) その2 2018(H30)入試分析

大問4の難易度が少し高めの図形の問題を扱います。

(問題)H30 甲陽学院中学校 算数(第1日) 大問4番
正三角形ABCの辺ABの真ん中の点をDとします。また,PとQはそれぞれ辺BC,AC上の点で,図のようにAとP,PとQ,QとDを直線で結んだときにその長さの合計AP+PQ+QDが一番短くなるような点とします。
kouyoyu1812m1.jpg
(1)長さの比BP:PC,AQ:QCを最も簡単な整数の比でそれぞれ求めなさい。

(2)直線APと直線QDが交わる点をRとします。三角形PQRの面積は正三角形ABCの面積の何倍ですか。

(1)
最短距離の問題は図を折り返して,2点を直線で結べばよかったですね。
kouyou1812k1.jpg
ACで折り返して、更にB’Cで折り返してDとA’を直線で結びます。
一つの解法としてはDCとAA’の補助線でも引けば、図よりB’P’:P’C=3:1よりBP:PC=3:1
AQ:QC=AD:P’C=2:1
とわかります。

(2)
kouyou1812k2.jpg
RはDA’とAPとの交点なので、△ABA’にベンツ切りを使ってAR:RPを出す方法があります。
△ARB:△ARA’=BP:PA’=3:(4+1)=3:5
△ARA’:△BRA’=AD:DB=5:5
よって
AP:RP=(△ARB+△ARA’+△BRA’):△BRA’
=(3+5+5):5
=13:5
したがって
△PQR=△APQ×5/13
=△APC×2/3×5/13
=△ABC×1/4×2/3×5/13
=△ABC×5/78
5/78倍とわかりました

使うことは特殊なことではなく、よく使う方法なので普段からたくさん練習しておくことで点数につながっていくと思います。
勉強がんばっていきましょう(畠田)

甲陽中学校 算数(1日目) その1 2018(H30)入試分析

甲陽学院中学1日目の問題をとりあげたいと思います。

受験者数 389名→363名→350名→349名→317名→382名→369名→402名
合格者数 218名→216名→219名→219名→215名→220名→219名→222名
実質倍率 1.78倍→1.68倍→1.60倍→1.59倍→1.47倍→1.74倍→1.68倍→1.81倍
今年は例年よりも高い倍率となりました。

各科目の得点情報は
受験者平均
国語① 64.9→49.4→63.1→62.0→56.5→53.6→55.2
国語② 59.9→59.0→69.5→49.3→60.7→59.7→52.8
算数① 56.0→49.8→60.3→62.1→58.3→58.9→62.1
算数② 54.0→56.3→61.4→53.1→47.5→54.3→58.3
理科  54.7→52.1→67.9→53.7→59.8→56.9→47.9
合格者平均
国語 132.0→114.9→138.1→117.7→125.4→119.9→117.1
算数 128.6→122.6→138.3→127.2→119.0→130.5→141.4
理科 58.8→58.1→71.7→57.1→59.8→60.6→53.3

算数の(①の平均点)+(②の平均点)は
110.0→106.1→121.7→115.2→105.8→113.2→120.4
これと合格者平均との差は
18.6→20.5→16.6→12→13.2→17.3→21
例年に比べて少し差がつきやすかったようです。

それでは1日目の甲陽らしい速さの問題を取り上げます。

(問題)H30 甲陽学院中学校 算数(第1日) 大問3番
太郎,次郎,三郎は,直線道路で結ばれたA市とB市の間をそれぞれ一定の速さで一往復します。太郎と三郎はA市を,次郎はB市を同じ時刻に出発し,出発してから15分後に太郎と次郎ははじめて出会いました。そして,次郎がA市に着いたとき,太郎と三郎ははじめて出会いました。さらに,太郎と次郎が折り返したあと出会ったのは,はじめて出会った地点から600mだけA市に近い地点でした。
(1)太郎と次郎が折り返したあと出会ったのは,はじめて出会ってから何分後ですか。

(2)太郎と次郎の速さの差は,毎分何mですか。

(3)三郎の速さが毎分45mです。A市とB市は何m離れていますか。

(1)太郎君と次郎君が最初に出会うと二人の歩いた距離の和はAB1つ分で15分かかり、次に出会うまでの距離の和はAB2つ分なので15分×2=30分後になります。

(2)
kouyou1811k1.jpg
○から×までを15分間、×から□までが30分間です。

太郎と次郎が初めて出会ってからの30分間に進む距離を考えると図から
(太郎:×から□まで)-(次郎:○から×までの2倍)=600m
なので太郎と次郎の速さの差は
600÷30=20m/分
とわかります。

(3)
kouyou1811k2.jpg
○から×までのそれぞれの進んだ距離を考えて
(三郎の進んだ距離)は速さ45m/分から㊺
(太郎の□から×)までが太郎と次郎の速さの差20m/分から⑳
とおくと
(太郎の進んだ距離)=㊺+⑳+⑳
(次郎の進んだ距離)=㊺+⑳
となり
太郎の速さは45+20+20=85m/分
次郎の速さは45+20=65m/分
したがってABの距離は(85+65)×15=2250mとわかります。

同じ時刻は同じ記号を使うなど状況図を描いて、時間が一定の場合は速さと距離は比例します。
何が一定なのか?を意識して練習していけば点数に結びついていくのでがんばりましょう。(畠田)

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