数理教育研究会

東大寺学園

東大寺学園中学校 算数 2021(R3)入試分析

今回は東大寺中学を扱いたいと思います。

【資料分析】
今年は合格者が多く、倍率は低くなりました。

受験者数 791名→834名→894名→911名→884名→909名→869名
合格者数 325名→347名→364名→373名→351名→361→402名
実質倍率 2.43 →2.40 →2.46 →2.44→2.52→2.52→2.16

各教科の平均点は
(合格者平均 全体平均 満点)の順に
国語(66.1 61.2 100)
算数(67.8 52.7 100)
理科(69.5 61.5 100)
社会(73.3 69.3 100)

算数の受験者平均は
51.9点→62.4点→53.4点→53.8点→47.0点→51.9点→52.7点
と推移していて若干低めではありました。

【問題分析】
大問1…(1)計算問題。43×47=2021のネタが使われていますね。(2)標準的な比の問題。あわせましょう。(3)小立方体を集めて作られた立方体を切って、切られた小立方体の個数を数える問題。かなり典型的なのであわせたい。
よくやったことあるような最大公約数の問題です。(3)微妙に工夫が必要な体積の問題です。満点狙いたいところです。

大問2…(1)集合算。マイナスにならないようにパターンは限られるという難関校でよくある典型的な問題でしっかり勉強してあわせたい。
(2)5が少なくとも一枚あると位置の位は5になり3は偶数枚に限られる。
5を使わないときもいけるのは忘れないように注意しないといけない。

大問3…△GCE+△AEDと△GABは、両方に△GBCを足してあると等しいとわかる。典型的な解法なのでしっかり勉強しておいて点数を確保したい

大問4…棒が伸び縮みする旅人算の問題。今回はこれを扱います。

(問題)R3 東大寺学園中学校 算数 大問4
一定の割合で伸び縮みをくりかえす棒PQがあります。最短の長さは10cmで、そこから1秒間に2cmの割合で最長の長さが14cmまで長くなり、そこから同じく1秒間に2cmの割合で最短の長さ10cmまで短くなり、これをずっとくりかえします。下の【図1】は時間と棒PQの長さとの関係を表したものです。

さて、この棒PQがPを左端、Qを右端として、直線上を左から右に、棒の右端Qの速さが一定であるように動いているものとします(【図2】)。棒の左端Pが直線上の点Oと重なったとき棒PQの長さは10cmとなっており、この瞬間にストップウォッチを押して経過時間を計測しました(【図3】)。たとえば経過時間が30秒の瞬間を単に「時刻30秒」ということにします。また、図の点Aは点Oから右に45cm離れた点とします。


(1)棒の左端Pが停止する時間帯があるとき、棒の右端Qの速さは毎秒何cmですか。

(2)棒の右端Qが毎秒5cmで動くとき、棒の左端Pが点Aに重なる時刻を答えなさい。

(3)棒の左端Pが点Oに「時刻0秒」以外にちょうど2回重なるとき、棒の右端Qの速さは毎秒何cmですか。また、棒の左端Pは点Aと何回重なりますか。

(4)「時刻0秒」に点Oを出発し右に一定の速さで動く点Rが、棒の左端Pと「時刻0秒」以外にちょうど6回重なりました。その6回の中で、棒の左端Pと点Rが3回目に重なった時刻での棒PQの長さと、4回目に重なった時刻での棒PQの長さをそれぞれ求めなさい。

[解説]
(1)棒は1秒で4÷2=2cmずつ伸びたり縮んだりするのでQが2cm/秒で進めば伸びている間は停止することになります。

(2)点Aが毎秒5cmで左に動くと考えても同じです。


ダイアグラムを描くと図のようになります。

次のはPとAが重なるところを拡大した図です。

点Aは-4のところに49÷5=9.8秒でつきます。
だから1:0.2=5:1なので点Aと点Pが重なるには
8+2×5/(5+1)=29/3秒
となります。

(3)点Oが左に動くと考えると点Oが図のダイアグラムの青線のように動くときです。


6秒で4cm動くので2/3cm/秒です。

点Aが左に3/2cm/秒で動くと45÷2/3=67.5、49÷2/3=73.5で

図のダイアグラムより3回

(4)点Rが左に動くと考えて

点Rは図の青線のように動けばよい。
3回目は赤の三角形の相似比は1:1より2cm伸びてるときなので10+2=12cm
4回目は緑の三角形の相似火は2:1より4×2/(2+1)=8/3cm伸びてるときなので10+8/3=38/3cm

難関校で出されるタイプの典型問題が多かったようです。
典型問題はしっかりと練習しておいて点数を固めておくことで、合格可能性の底上げをすることができます、頑張りましょう!(畠田)

東大寺学園中学校 算数 2020(R2)入試分析

今回は東大寺中学を扱います。

【資料分析】
倍率は去年と変動はありませんでした

受験者数 791名→834名→894名→911名→884名→909名
合格者数 325名→347名→364名→373名→351名→361
実質倍率 2.43 →2.40 →2.46 →2.44→2.52→2.52

算数の受験者平均と合格者平均の差は17.6点とかなりあり、算数は差がつきやすいのでしっかりやるべきなことがわかります。

各教科の平均点は
(合格者平均 全体平均 満点)の順に
国語(61.8 56.6 100)
算数(69.5 51.9 100)
理科(73.6 66.5 100)
社会(69.7 65.3 100)

算数の受験者平均は
51.9点→62.4点→53.4点→53.8点→47.0点→51.9点
と推移していて低めとなりました。

【問題分析】
大問1…(1)素因数分解とか意識するタイプの計算問題です。(2)よくやったことあるような最大公約数の問題です。(3)微妙に工夫が必要な体積の問題です。満点狙いたいところです。

大問2…食塩水の問題です。よくやったことある問題だと思うのでしっかりあわせたいところです。連立方程式でごり押しでも何でもいいのであわせたいところです。

大問3…(1)円を動かす面積の問題です。①が②の誘導になっていて、アプローチの仕方が見えてきます。ぜひやって欲しいよく出来た問題です。
(2)普通の比の問題と見せかけて意外とわかりにくいです。文字を置いて方程式みたいにしたらいいですが、うまくやれば算数的に解けます。色々考えてみましょう。シンプルであるが意外と解けないという(1)(2)ともにさすが東大寺らしいよく出来た問題なので考察をしておきましょう。

大問4…今回はこの問題を解説します。

(問題)R2 東大寺学園中学校 算数 大問4
太郎君と花子さんが1,2,3,4,5,6の6種類の数字だけを並べて整数を作ります。ただし,同じ数字を何回用いてもよいとします。たとえば3けたの整数を作るときは222や353などの整数も作ることができます。太郎君の作る整数をA,花子さんの作る整数をBとするとき,次の問いに答えなさい。
(1)①2人とも2けたの整数を作るとき,B=2×AとなるようなA,Bの組は何組あるか答えなさい。
②2人とも2けたの整数を作るとき,B=2×A+1となるようなA,Bの組は何組あるか答えなさい。

(2)2人とも3けたの整数を作るとき,B=2×AとなるようなA,Bの組は何組あるか答えなさい。

(3)2人とも5けたの整数を作るとき,B=2×AとなるようなA,Bの組は何組あるか答えなさい。

[解説]
(1)①②まずは実際に書きくだしてみましょう。
2020toudaiji4-1.jpg
①のB=2×Aは11組
②のB=2×A+1は10組

とわかりました。

(2)
(1)で書きくだしていってみた結果
B=2×Aでは一の位は1,2,3,6しか使えないことがわかります。
B=2×A+1では一の位は1,2,5,6しか使えないことがわかります。

ということは一の位で場合分けがポイントと予想できます。

2020toudaiji4-2.jpg

一の位で場合分けして書きくだしていってみると

・一の位が1,2,3の時…2倍しても繰り上げが起こらないので十の位以上に影響を与えません。
だから百の位と十の位の2桁は(1)の①のB=2×Aの2けたの並びということがわかります。

・一の位が6の時…2倍すると繰り上げが起こるので十の位は1大きくなります。
だから百の位と十の位の2桁は(2)の②のB=2×A+1の2けたの並びということがわかります。
よって11×3+10=43組とわかりました。

(3)同じように4桁の場合を作るには3桁のB=2×A+1が必要なので数え上げてみます。
2020toudaiji4-3.jpg

・一の位が1,2の時…2倍しても繰り上げが起こらないので上から2桁はB=2×Aの2桁の並びになります。

・一の位が5,6の時…2倍すると繰り上げ起こるので,B=2×A+1の2桁の並びということがわかります。
よって11×2+10×2=42組とわかりました。

同様にしていくと

4桁のB=2×Aは43×3+42=171組
4桁のB=2×A+1は43×2+42×2=170組

5桁のB=2×Aは171×3+170=683組

この問題は書き下していって規則性を見つけるということが出来るかを問われています。
よく考えられていて練習するのにも良い問題です。
このようなアプローチを練習しておくようにしておきましょう!(畠田)

東大寺学園中学校 算数 2018(H30)入試分析 その1

今回は東大寺中学を扱います。

受験者数 791名→834名→894名→911名
合格者数 325名→347名→364名→373名
実質倍率 2.43 →2.40 →2.46 →2.44

倍率は例年通りです。

算数は受験者平均は
51.9点→62.4点→53.4点→53.8点
で去年と同じ程度です。

大問4番は難しいですが、敢えて大問4番を扱いと思います。

(問題)H30 東大寺学園中学校 算数 大問4番
白石○と黒石●を何個か横一列に並べて,次のルールで得点を決めました。○がちょうど2個続いた部分があればその部分に1点,ちょうど3個続いた部分があればその部分に2点,ちょうど4個続いた部分があればその部分に3点,…と決めて,●に関しても,●がちょうど2個続いた部分があればその部分に1点,ちょうど3個続いた部分があればその部分に2点,ちょうど4個続いた部分があればその部分に3点,…と決めて,その合計を得点とします。例えば,
toudaiji18m1.jpg

というように得点が決まります。次の問いに答えなさい。

(1) ① ○と●を合計3個並べるときの並べ方は全部で8通りありますが,それらの中で真ん中の石の色だけが異なる並べ方を表のように組にしました。ア組,イ組,ウ組,エ組それぞれについて,2つの並べ方の得点の差を答えなさい。
toudaiji18m2.jpg
② ○と●を合計6個並べて得点を求めた後,左から2番目に並んでいる石と右から2番目に並んでいる石を互いに交換しました。最初の得点と石を交換した後の並べ方の得点との差としてありえるものをすべて答えなさい。

(2) 左端の石と右端の石がどちらも○であるように,○と●を合計8個並べました。そのときの得点としてありえるものをすべて答えなさい。

(3) 左端の石が○であるように,○と●を合計10個並べて得点を求めた後,右端の石以外の石の中から2個の石を選んで互いに交換したところ,得点が3点増加し偶数の得点となりました。そこからさらに左端の石と右端の石を互いに交換しましたが,そのとき得点は変化しませんでした。
① 最初に並べたときの右端の石の色を答えなさい。
② 最初に並べたときの右から2番目の石の色を答えなさい。
③ 最初に並べたときの得点としてありえるもののうち,最も高いものを答えなさい。
④ 最初に並べたときの得点が,③のときの得点だったとすると,最初に並べたときの並べ方としてありえるものは全部で何通りありますか。

(1)① まずは実際やってみましょう。
これは後に続く問題の誘導になっていますが、実際やってみて問題を把握できる誘導でもあります。

ア組
○○○は2点
○●○は0点
よって差は2点

イ組
○○●は1点
○●●は1点
よって差は0点

ウ組
●○○は1点
●●○は1点
よって差は0点

エ組
●○●は0点
●●●は2点
よって差は2点となりました。

② 石を置き変えたときに、点数の増減に影響するのは隣の石だけなので
左3個と右3個に分けて考えたらよいことになります。
①を参考にして増える場合だけ考えれば十分なので

左3個:+2 右3個:+2
例 ○●○|●○●→○○○|●●●
2+2=4点の差

左3個:+0 右3個:+2 または左3個:+2 右3個:+0
例 ○●●|●○●→○○●|●●●
0+2=2点の差

左3個:+0 右3個:+0
例 ○●●|○○●→○○●|○●●
0+0=0点の差

なので0,2,4点とわかりました。

(2) 4つで実験的に考えると
○○○○ 3点
○○○● 2点
○○●○ 1点
○●○○ 1点
●○○○ 2点
○○●● 2点
○●○● 0点
●○○● 1点
○●●○ 1点
●○●○ 0点
●●○○ 2点
○●●● 2点
●○●● 1点
●●○● 1点
●●●○ 2点
すると○か●ではなく同じ石が続くか?違う石に切り替わる?がポイントと気づいてくるかもしれません。

左の石と同じ石が置かれていることをA,左の石と違う石が置かれていることをBと書くと
○○○○ AAA3点
○○○● AAB2点
○○●○ ABB1点
○●○○ BBA1点
●○○○ BAA2点
○○●● ABA2点
○●○● BBB0点
●○○● BAB1点
○●●○ BAB1点
●○●○ BBB0点
●●○○ ABA2点
○●●● BAA2点
●○●● BBA1点
●●○● ABB1点
●●●○ AAB2点
となりAの個数が点数になることがわかります。

左端の石と右端の石がどちらも○であるには左の石と違う石が置かれたBの回数が偶数回でないといけなくて,
かつ合計8個並べるということはA,Bは7個並びます。
すると考えられる場合は
Aが1個,Bが6個の1点
Aが3個,Bが4個の3点
Aが5個,Bが2個の5点
Aが7個,Bが0個の7点
1,3,5,7点とわかりました。

(3)① まず右端の石の色は,Bが奇数回なら左端の石の色と逆,Bが偶数回なら左端の石の色と同じです。
かつ合計10個並べるのでAとBは合わせて9回です。
3点増加すると点数が偶数になったということは,最初の点数は奇数でAは奇数回,Bは偶数回です。
よって右端の色は左端の色と同じで白色とわかります。

② (1)より隣同士または両端を含む場合以外の交換では0,2,4点の差になるので3点増加するのは隣同士または両端を含む場合の交換になります。

隣同士の交換は
BB→ABで+1点
例えば○[●○]…→○[○●]…

BA→BAで+0点
例えば○[●●]…→○[●●]

AB→BBで-1点
例えば○[○●]…→○[●○]…

AA→AAで+0点
例えば○[○○]…→○[○○]…

で3点増加は無理です。
と言うことは端を含む交換となります。

A→Bで-1点
例えば[○]○…→[●]○…

A→AとB→Bは+0点なので省略

B→Aで+1点
例えば[○]●…→[●]●…

なので左端+1点、もう片方は+2点となれば+3点となります。

よって
[○]●…○[●]○…→[●]●…○[○]○…
の交換であったことがわかります。

この時点で左端の石は●,右端の石は○です。
この二つを交換すること考えると

左端は
[●]●…→[○]●…
で-1点

右端は
…●[○]→…●[●]のとき
は+1点
…○[○]→…○[●]のとき
は-1点

より点数がかわらないのは右端が+1点となる場合で右から2番目の石は黒色とわかりました。

③ 今までわかっていることを整理すると最初の並びは
○●…○●○…●○
でBは少なくとも6回以上で、偶数なので
(A,B)=(3,6),(1,8)
の2パターンの3点と1点です。
よって最も高いのは(3,6)の場合の3点です。

④ Aが3回,Bが6回で○●…○●○…●○の形になるには
B∨B∨BB∨B∨B
で∨の箇所のところにAを3回分入れることになります。

4箇所の∨に入れるAの回数は
(0,0,0,3)
(0,0,1,2)
(0,0,2,1)
(0,0,3,0)
(0,1,0,2)
(0,1,1,1)
(0,1,2,0)
(0,2,0,1)
(0,2,1,0)
(0,3,0,0)
(1,0,0,2)
(1,0,1,1)
(1,0,2,0)
(1,1,0,1)
(1,1,1,0)
(1,2,0,0)
(2,0,0,1)
(2,0,1,0)
(2,1,0,0)
(3,0,0,0)
の(4+3+2+1)+(3+2+1)+(2+1)+1=10+6+3+1=20通りとわかります。

*4箇所の部分から重複を許して3つ選べばいいので4H3=6C3=(6×5×3)÷(3×2×1)=20通り

試験時間内に考えて解き切るのは難しいですが,きっちり論理的に解ける問題です。
小問で誘導されている,実験してみる,間に注目するなど問題の取り組み方,難しい条件整理/操作の問題で使う考え方が扱われているので勉強してみるのには良い問題です。
そして本番に小問がいくつか解けるようになればグッドです!(畠田)

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