数理教育研究会

開成中学校 算数 問題解説&入試分析★2018年(H30年)

今回は開成を扱いたいます。

受験者数1171人,合格者388人,倍率3.0

合格最低点227点
各教科の平均点は
(合格者平均 全体平均 満点)の順に
国語(55.2 47.2 85)
算数(73.9 62.0 85)
理科(58.2 53.5 70)
社会(53.8 48.6 70)

算数は今年は典型的な普通の簡単な問題で合格者平均が8割7分と非常に高くなりました。その分、全体の合格最低点も高くなっています。
過去10年の算数の平均点は
60.9→64.6→72.1→55.7→68.3→61.9→61.1→53.7→54.8→73.9
でもっとも難しいのが2年続いて、突然もっとも簡単になりました。
開成は傾向がないのが傾向だけでなく、難易度の傾向もないのが傾向と言えそうです。

それでは平易な問題が多かったですが、一つ問題をとりあげたいと思います。

(問題)平成30年 開成中学校 算数 大問4
正方形のマスの中に,1は1個,2は2個,3は3個のように整数nはn個使い,ある整数から連続した3種類以上の整数を図のように小さい順に並べます。
kaisei2018m1.jpg
図1では3マス四方の正方形に,2を2個,3を3個,4を4個,ちょうど並べきりました。
図2,図3では,6マス四方の正方形に11から13まで,1から8までの整数をちょうど並べきりました。(6マス四方に並べる並べ方はこの2通り以外ありません。)次の問いに答えなさい。(1),(2)では,2通り以上の並べ方がある場合は,すべて答えること。解答らんには,図1の3マス四方なら[2~4],図2,図3の6マス四方なら[11~13 1~8]のように書きなさい。
(1)7マス四方の正方形にちょうど並べきるには,いくつからいくつまでの整数を並べればよいですか。
(2)10マス四方の正方形にちょうど並べきるには,いくつからいくつまでの整数を並べればよいですか。
(3)30マス四方の正方形にちょうど並べきる並べ方は何通りありますか。また,それぞれの並べ方は何種類の整数を使うかを求めなさい。(6マス四方の正方形にちょうど並べきる並べ方は図2,図3の「11~13」,「1~8」の2通りです。この場合には,「[2]通りの並べ方があり,それぞれ[3,8]種類の整数を使う」と答えること。また,種類を示す整数は小さい順に並べること。)

図1では
2+3+4=3×3
図2では
11+12+13=6×6
1+2+3+4+5+6+7+8=6×6
と言うように連続する1以上の整数の和で表せばよいことがわかります。

連続する1以上の整数の和についてまとめると
偶数個のとき和は
(平均値)×(偶数個)
奇数個のとき和は
(平均値)×(奇数個)
となります。
偶数個の平均値の小数部分は0.5になることに注意してください。

以下、奇数個を先に数えてから偶数個を考えることにします。

(1)
7×7=49は
49×(1個)
7×(7個)
24.5×(2個)

このうち3種類以上のものは平均値が7で7種類の
[4~10]の整数を並べればよいことがわかります。

(2)
10×10=100は
100×(1個)
20×(5個)
12.5×(8個)
このうち3種類以上のものは平均値が20で5種類と平均値が12.5の8個より
[18~22],[9~16] の整数を並べればよいことがわかります。

(3)
30×30=900は
900×(1個)
300×(3個)
180×(5個)
100×(9個)
60×(15個)
36×(25個)
112.5×(8個)
37.5×(8×3個)
22.5(8×5個)
このうち3種類以上ものは種類が3,5,9,15,25,8,8×3=24,8×5=408通りあることがわかりました。

注…ある数を連続する1以上の整数の和で表す方法は一般に奇約数の個数あることが知られています。
例えば900であれば900=2×2×3×3×5×5より3が2つ,5が2つなので(2+1)×(2+1)=9通りあることわかります。

有名な典型問題でひねりも特にありませんが,1問でも間違えれば大きく響きます。
問題の内容が簡単でもたくさんの練習をしておくことが大切です(畠田)

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