数理教育研究会

開成中学校 算数 問題解説&入試分析★2021年(R3年)

今回は開成中学をとりあげます。

【入試資料分析】
今年はコロナが影響したのか受験者数は近年で一番少なくなりました。
確実に合格するところを受ける人が多かったと思われます。

受験者数1051人,合格者398人,倍率2.06

算数の合格者平均は例年程度であったと思います。

合格者平均217.9点
各教科の平均点は
(合格者平均 全体平均 満点)の順に
国語(58.0 49.1 85)
算数(55.8 45.8 85)
理科(54.1 49.7 70)
社会(49.9 45.9 70)

【問題分析】
○大問1…(1)基本的な日暦算。うるう年のルールも書いていて計算も複雑ではない。敢えてこのような基本が大切であるとメッセージ性のある問題を出すところが開成なのかもしれません。
(2)交点の個数を数える問題。規則性を利用してやりやすい問題であったと思います。
(3)正六角形の問題。正六角形を分割する標準的な問題です。
(4)、(1)~(3)まで基礎的な問題を出しておいて突然ハードな問題。今回はこれを扱いたいと思います。

大問2…(1)さすがに外せない問題。(2)意外と難しい。三角錐と断頭三角錐を4つ取り除く方法などある。(3)こちらも断頭三角錐を4つ取り除く方法などがある。断頭三角錐には救われることが多いのでしっかり練習しておきたい。

大問3…文章を読み取って問題を把握するのが結構大変。(1)(2)(3)くらいまでは正解しておきたい。(4)や(5)は2進法の計算と同じであることに気づけば答えがすぐに出る。

 

(問題)令和2年 開成中学校 算数 大問1(4)
1/9998を小数で表すとき。小数第48位の数、小数第56位の数、小数第96位の数をそれぞれ求めなさい。

[解説]
まず実際に割り算をおこなってみて規則性を考えてみることが基本です。

筆算を次のように書いていきます。
1=9998×0.0001+0.0002
0.0002=9998×0.00000002+0.00000004
0.00000004=9998×0.000000000004+0.0000000000000008

と続けていくことになります。
常に両辺が2/10000倍ずつになっています。

だから
1=9998×(0.0001+0.00000002)+0.00000004
=9998×(0.0001+0.00000002+0.00000004)+0.0000000000000008

となるので商は
0.0001+0.00000002+0.00000004+…
となっていきます。

2/10000倍ずつして足していくことになります。

ということは
小数第48位は48÷4=12より
2を12-1=11回かけると2048で、小数第48位は2048の一の位の8となります。

小数第56位は56÷4=14より
2を14-11=13回かけると8192になります。

2を14回かけると16384で5桁となるので今回は後ろからも影響を受けます。

小数第56位は

81920000+16384=81936384より万の位の3となります。

小数第96位は96÷4=24より
2を24-1=23回かけると8388608
2を24回かけると16777216で8桁
2を25回かけると33554432で8桁

で今回は後ろ2つから影響をうけます。

よって小数第96位は
838860800000000+167772160000+33554432
=839028605714432
より億の位の6となります。

後ろの影響を受けることには注意しないといけません。

(※この問題は数学的には
初項0.0001、公比0.0002の無限等比級数
0.0001+0.0001×0.0002+0.0001×0.0002^2+…=0.0001/(1-0.0002)
=1/9998
と関係があります。)

 

今年の問題は簡単な問題と難しい問題が極端にわかれました。
まず基本的な問題は絶対に落とせません。
そして読み取りや規則性などで点数を確保していけば合格点に近づきます!(畠田)

 

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