算数
筑波大学附属駒場中学校 算数 問題解説&入試分析★2019年(H31年)
今回は筑波大学附属駒場中学校の問題を取り上げます。
【入試資料分析】
 倍率は例年並みです。
 受験者数624人で合格者129人の倍率4.84倍
筑駒では最高点と最低点しか発表されていませんが、今年は最低点がここ10年でもっとも低かったです。
 算数、国語、理科、社会、調査書、各100点ずつの500点満点で最高388点、最低322点
算数の問題は難しい問題というわけではなく素早い処理が求められる筑駒らしい問題でした。
 ただし大問2問は書き上げた人と,問題のアプローチの仕方がわかった人でかかった時間と正解率に差が出たかもしれません。
 大問4がすぐに出来ることを考えると,大問2などに時間をとられてしまって大問4にかける時間がないと点数がとれないので筑駒の過去問で戦略を研究して慣れておくことが重要です。
 目標は8割です。
 筑駒の傾向にあわせた対策と,時間配分を意識して練習していけば合格点とれます!
【問題分析】
 ○大問1
 筑駒の問題は小さい数で書き下して規則性を見つけて,他の数の場合にあてはめるのが基本です。
 非常に筑駒らしい処理になり,満点を狙いたいところです。
 看板の番号と,その看板と0の看板の間の距離は
 1…1
 2…1/2
 3…1/4
 4…3/4
 5…1/8
 6…3/8
 7…5/8
 8…7/8
 9…1/16
 10…3/16
 11…5/16
 12…7/16
 13…9/16
 14…11/16
 15…13/16
 16…15/16
 これを見ると
 1 | 1/2 | 1/4,3/4 | 1/8,3/8,5/8,7/8 | 1/16,3/16,5/16,7/16,9/16,11/16,13/16,15/16|…
 のように例えば
 4群目の最後は全体で2×2×2=8番目で,分母が2×2×2=8で分子は奇数が4個
 5群目の最後は全体で2×2×2×2=16番目で,分母が2×2×2×2=16で分子は奇数が2×2×2×2=8個
 となるような群数列です。
31の看板は
 2×2×2×2=16,2×2×2×2×2=32から6群目の中の31-16=15番目より分母は32で分子は15番目の奇数2×15-1=29。
 したがって29/32kmです。
(2)2019の看板は
 (2が10個の積)=1024,(2が11個の積)=2048より11群目の中の2019-1024=995番目より分母は2048,分子は995番目の奇数2×995-1=1989より1989/2048km
よって東に1989/2048-29/32=133/2048km
(3)例えば工事3の図を見ると看板0から8までなら1/8kmずつの間隔で並んでいます。
 看板0から2048では1/2048kmずつの間隔で並んでいることになるので2019個目の看板は2019-1=2018に注意して
 0の看板から2018/2028=1009/1024kmのところにあります。
 これは1024=(2が10個の積)より11群目の中の(1009+1)÷2=505番目です。
 よって10群目の最後は全体で(2が9個の積)=512番目より全体で512+505=1017番目
 つまり1017の看板とわかりました。
大問2
 この問題を取り上げようと思います。
大問3
 (1),(2)は基礎的な問題で落とせません。
 (3)では少し複雑になっていきますが,ちょっと工夫する程度なのであわせたいところです。
 (1)赤と白の進んだ長さの差が15mになればよいので
 15÷(3.5-2)=10秒後
 白はこのとき2×10=20m進むので15で割ると20÷15=1余り5よりAからの距離は5m
(2)(1)より赤と白は10秒ごとに一致します。
 赤と青の進んだ長さの和が15cmになればよいので
 15÷(3.5+1.3)=25/8
 よって25/8秒ごとに赤と青は一致。
 したがって10,20,30,…と25/8,25/8×2,25/8×3,…が最初に一致するのは50なので
 50秒後。
 このとき白は2×50=100m進むので100÷15=6余り10よりAからの距離は10m
(3)(2)より赤と青は25/8ごとに一致
 白はAからB,BからAまでそれぞれ15÷1.5=10秒ずつかかる。
0~10,20~30,40~50,…秒では白が往復せずにAを出発しBに到着した瞬間に再びAで点灯した動きと同じです。
 もし白がこのA→Bを繰り返す動きしかないとすると
 15÷(3.5-1.5)=15/2秒ごとに一致
 25/8,25/8×2,25/8×3,…と15/2,15/2×2,15/2×3,…が最初一致するのは75/2より75/2秒ごとに一致する。
 実際は0~10,20~30,40~50,…秒の間だけなのでこの場合に最初に一致するのは37.5×5=187.5秒
10~20,30~40,50~60,…秒では白が往復せずにBを出発しAに到着した瞬間に再びAで点灯した動きと同じです。
 もし白がこのB→Aを繰り返す動きしかないとすると
 15÷(3.5+1.5)=3秒ごとに一致
 25/8,25/8×2,25/8×3,…と3,6,9,…が最初一致するのは75より75秒ごとに一致する。
 実際は10~20,30~40,50~60,…秒の間だけなのでこの場合に最初に一致するのは75秒です。
 よって75秒とわかりました。
このとき赤は3.5×75=262.5m進むのでAからの距離は262.5÷15=17余り7.5から7.5m
○大問4
 (1),(2)は基本的で落とせません。(3)も△ABC+扇形としてしまいそうですが筑駒受けるならばこの程度はミスがないようにとりたいですね。
(1)(ア)の操作後のAの位置をA’とするとCA=CA’=AA’で正三角形なので
 30°+60°+60°=150°
(2)(ア)(イ)(ウ)の操作でBAはAを中心に150°回転し
 Aは半径5cm、中心角60°×2=120°度の円弧をえがきます。
 150°と360°の最小公倍数は150°×12=1800°より(ア)(イ)(ウ)を12回繰り返します。
 2×5×3.14×120°/360°×12=12.56cm
回転させると図のように点Bの回転による弧BB’は線分ABから飛び出すので注意してください。
 きっちり点Cを中心にそれぞれの点を60°回転させましょう。
 弧BB’と線分ABとの交点をDとするとCB=CD,∠DBC=75°より∠DCB=30°とわかり30°問題なので△ABCの面積と△DBCの面積はわかります。
 求める面積は
 (扇形CBD)+(扇形CAA’)+(△ABC-△CBD)
 =2.6×2.6×3.14×30°/360°+5×5×3.14×60°/360°+(5×5÷4-2.6×2.6÷4)
 =19.4122cm^2
(問題)2019年度 筑波大学附属駒場中学校 算数 大問2
 長さが1cmのまっすぐな線をいくつか紙にかいて図形をつくります。
 紙から鉛筆をはなさずに,この図形上のある1点Aから,すべての線をなぞってAに戻ることを考えます。
 
 例えば,4本の線でつくった図形1は,Aからすべての線を1回ずつなぞってAに戻れます。このとき,なぞった線の長さは4cmです。
また,(あ)~(き)の7本の線でつくった図形2は,Aからすべての線を1回ずつなぞってAに戻ることはできませんが,(え)の線を2回なぞれば,他の線を1回ずつなぞってAに戻れます。このとき,なぞった線の長さは8cmです。
次の問いに答えなさい。
 なお,すべての線をなぞってAに戻るまでの間で,Aを何度通ってもよいものとします。
(ア)~(コ)の10本の線でつくった図形3には,そのうち2本の線を2回,他の線をちょうど1回ずつなぞってAに戻る,長さ12cmのなぞり方があります。
 このとき,2回なぞる2本の線の選び方は2通ります。
 それぞれの選び方で,2回なぞる2本の線はどれですか。
 2回なぞる2本の線の組み合わせを,(ア)~(コ)の記号で答えなさい。
(2)
 12本の線でつくった図形Aには,そのうち4本の線を2回,他の線をちょうど1回ずつなぞってAに戻る,長さが16cmのなぞり方があります。このとき,2回なぞる4本の線の選び方は何通りありますか。
(3)
 17本の線でつくった図形5には,そのうち5本の線を2回,他の線をちょうど1回ずつなぞってAに戻る,長さが22cmのなぞり方があります。このとき,2回なぞる5本の線の選び方は何通りありますか。
[解説]
 一筆書きの問題です。
 奇数本交わるところを奇点、偶数本交わるところを偶点とすると一筆書きが出来る条件は
 ○全て偶点である
 または
 ○奇点が2つで奇点からはじまる
です。
 この問題の場合は,Aからスタートするので全て偶点になればよいことになります。
一筆書きの問題のようにきっちり基本的事項は抑えているか,整理の仕方などが問われています。
 (1)だけは落としてはいけません。
 (2)と(3)どちらかは正解しておきたいです。
(1)
 奇点(赤色)が4つあるので,ここが偶点になるように2本線を入れて結びます。
 緑の㋑と㋘,青の㋔と㋕
 の2つになります。
(2)
 奇点がE,B,C,Dの4つあるので,ここが偶点になるように4本線を入れます。
 Bは点Eか点Cか点Dと結ぶことになります。
BとE,CとDを結ぶ時,それぞれ青の場合と緑の場合の2通りずつで2×2=4通り
BとC,EとDを結ぶ時,それぞれ青の場合と緑の場合の2通りずつで2×2=4通り
BとD,CとEを結んだ時の1通りを2重に数えてるので4+4-1=7通り
(3)
 BとG,CとD,EとFを結ぶとき青と緑の2通りずつで2×2=4通り
 BとC,GとF,DとEを結ぶとき青と緑の2通りずつで2×2=4通り
 BとE,GとF,CとDを結ぶとき1通り
 よって4+4+1=9通りになります。(畠田)
灘中学校 算数(2日目)2019(H31)入試分析 その3
前回の続きで灘中学校、2019年度算数2日目大問4,大問5をとりあげます。
大問4は高校数学の整数問題で普通に解ける問題ですが誘導に載って解いたとしても,基本的な考え方は素因数分解で,素因数分解の勉強になります。
 大問5は立体をとらえるときに,高校数学では積分で体積を求めるときに断面を考えてますが,この問題も断面を考えることによって立体をとらえる問題です。類題がこれまで他の学校でも出題されてきましたが,断面の誘導が強く出ていて,断面で立体をとらえる勉強になります。
○大問4
 どの辺の長さも,3cmのように整数に単位cmをつけて表される長方形を「整長方形」ということにします。ただし,正方形は整長方形に含めないことにします。
(1)整長方形の周の長さがa cm,面積がa cm^2であるとき,aにあてはまる整数は次の説明文のようにして求めることができます。空欄①,②,③に入る適当な数を答えなさい。
 ただし,同じ番号の空欄には同じ数が入ります。
右の図のように,整長方形ABCDがあり,周の長さはa cm,面積はa cm^2であるとします。
 辺AB上に点P,辺BC上に点Q,辺CD上に点R,辺DA上に点Sを,直線PRと直線BCが平行で,直線SQと直線DCが平行になるようにとります。
 BPの長さとSDの長さがどちらも[ ① ]cmであるとき,整長方形PBCRの面積と整長方形SQCDの面積の和はa cm^2になります。このとき,直線PRと直線SQが交わる点をTとすると,整長方形APTSの面積は[ ② ]cm^2になります。
 このことから,整長方形APTSの直角をはさむ2辺の長さとして考えられるのは1cmと[ ② ]cmとなるため,aにあてはまる整数は[ ③ ]です。
(2)整長方形の周の長さがa cm,面積が(a×2)cm^2であるとき,aにあてはまる整数をすべて求めなさい。
(3)整長方形の周の長さがa cm,面積が(a×2+8)cm^2であるとき,aにあてはまる整数をすべて求めなさい。
[解説]
 これは誘導に乗らなくても2辺の長さをx,y(x>y)とすれば
 (1)はa=2×x+2×yで2×x+2×y=x×yという不定方式をとけばよくなります。
 甲陽などでもx,yを自然数として2数の和と積が等しいx,yを求めろ(x+y=xyを解け)と言う問題がありましたが,同じように解けば
 ((xが2個分)+(yが2個分))は(xが4個分)より小さい
 x×yを(xがy個分)と考えると,xは4個未満(3個以下)にならないといけなかったのでy=1,2,3のみ調べればよくなり(x,y)=(6,3)と解けました。
 もっと数学の知識を使って式変形をすると
 (x-2)×(y-2)=4
 とやって4の約数の組みあわせを考えて
 (x-2,y-2)=(4,1)より(x,y)=(6,3)とすぐに出ます。
 (2)は4×x+4×y=x×yを解けばよく(x-4)×(y-4)=16と変形して(x-4,y-4)=(16,1),(8,2)より(x,y)=(20,5),(12,6)
 (3)も4×x+4×y+8=x×yを解けばよく(x-4)×(y-4)=24と変形して(x-4,y-4)=(24,1),(12,2),(8,3),(6,4)と求めていけます。
誘導の意図をつかむ時間よりも安定して解けるので,このようにまず泥臭く勉強して解いて点数の最低値を底上げすることも合格するのに大切だと思います。
今回は問題の意図に沿って誘導に乗って解く方法を解説したいと思います。
 (1)PBとSCの長さが等しいので長方形PBCRと長方形SQCDを並べて図のように長い長方形することが出来てこの面積がa cm^2になります。
 
 この長い長方形は底辺の長さが周の半分でa÷2 cmで,高さを☐ cmとすると
 (a÷2)×☐=a
 なので☐=2とわかります。
 正方形TQCRは2×2=4なので
 (長方形ABCD)=(長方形APTS)+(長方形PBCR)+(長方形SQCD)-(正方形TQCR)
 より
 a=(長方形APTS)+a-4
 なので長方形APTSの面積は4cm^2とわかります。
 よって1×4の組み合わせしかないのでa=((1+2)+(4+2))×2=18とわかりました。
(2)同じように
 (a÷2)×☐=2×aから☐=4で長方形APTSの面積は4×4=16
 16=1×16,2×8より
 aは((1+4)+(16+4))×2=50と((2+4)+(8+4))×2=36
(3)同じように
 (a÷2)×☐=2×aから☐=4で長方形APTSの面積は4×4+8=24になればよいので
 24=1×24,2×12,3×8,4×6よりaは
 ((1+4)+(24+4))×2=66,((2+4)+(12+4))×2=44,((3+4)+(8+4))×2=38,((4+4)+(6+4))×2=36
 とわかりました。
○大問5
 一辺の長さ4cmで中身がつまった2つの立方体A,Bがあります。立方体Cは一辺の長さが12cmで,はじめ,図のように立方体Aの上面は立方体Cの上面の㋐に,立方体Bの上面は立方体Cの上面の㋒に重なっています。立方体Aは回転することなく一定方向に進み,下面が立方体Cの下面の㋑に到着しました。そののち,立方体Bは回転することなく一定方向に進み,下面が立方体Cの下面の㋓に到着しました。このとき,立方体Aが通過した部分をX,立方体Bが通過した部分をYとして,XとYが重なった部分をZとします。
 
(1)右の図は,立方体Cの下面から9cmの高さにある平面でZを切ったときの真上から見た切り口をかき入れたものです。その平面と面PQRSの交わりを太線で表しています。立方体Cの下面から8cm,7cm,6cmの高さにある平面でZを切ったときの真上から見た切り口を,右の図にならってそれぞれかき入れなさい。
 
(2)Zのうち,立方体Cの下面から8cmの高さにある平面と10cmの高さにある平面ではさまれた部分の体積を求めなさい。
(3)Zのうち,立方体Cの下面から6cmの高さになる平面と8cmの高さにある平面ではさまれた部分の体積を求めなさい。
[解説]
 類題が難関校でよく出ている問題です。
 灘で出やすい分野、お題です。
 XとYの共通部分の立体を考えて断面を調べるのではなく,XとYそれぞれの断面を考えてその共通部分を調べる
 上面と下面の通過部分を考える
 しっかり練習しておけばアプローチに迷うことはなかったと思います。
断面において動かす立方体の上面が通ったところ,下面が通ったところを描いて対応する頂点を結べば断面ができます。
 青がXの断面,赤がYの断面です。
 青と赤の共通部分が求める断面になります。
(2)共通部分をイメージするのではなく断面を元に共通部分の立体をとらえます。
 高さ8cm,9cmの断面はかいているので10cmの断面を考えてみると
 
 高さ10cmは立方体A,Bの最初の位置の下面より上なので,下面が最初の位置であると考えて描けばよく図のようになります。
XとYの共通部分は図の黒い線になります
 これら高さが8cm,9cm,10cmの断面図から,黒い点が同じ位置にあることに注意して立体の図を描いてみます。
 
 底面積が4×2÷2=4cm^2,平均の高さが(4+4+4)÷3=4cmの断頭三角柱の部分と
 青い部分の底面積が4×2÷2=4cm^2高さが2cmの三角すいに分けて考えて
4×4+4×2÷3=56/3cm^3
 とわかります。
(3)高さ6cm,7cm,8cmの断面の図から考えて黒い点が同じ位置であることに注意すると
 図のようになります
 
 対角線の長さが8cmずつの正方形を底面とした高さ2cmの直方体から
 底面積が4×2÷2=4cm^2,高さが2cmの青い三角すい3つを取り除いて
 8×8÷2×2-4×2÷3×3=56cm^3
とわかりました。(畠田)
灘中学校 算数(2日目)2019(H31)入試分析 その2
前回の灘中学校、2019年度算数2日目大問1と大問2に続いて大問3をとりあげます。
ただ単に頂点を通った光はどこに到達するか考えて結べばいいだけの問題ではなく,辺を通った光がどう到達するか考えないといけない問題なので,曖昧な理解を明確な理解にレベルアップさせてくれる非常に良い問題です。
 きちんとした論理の組み立てとしては算数に役立つ数学的な空間図形で勉強になります。
○大問3
 右の図のように,板①と板②が垂直に置かれています。板①と板②のつなぎ目の直線をXYとします。板①にかかれた正方形ABCDは一辺の長さが10cmです。また,直線ADと直線XYは平行で,ABとXYが交わる点をEとすると,AEの長さは10cmです。BFは長さが10cmで,板①に垂直であり,点Fに電球が置かれています。電球の大きさは考えないものとします。
 
(1)
 一辺の長さが10cmの正方形の板を,板②と平行に,1つの辺がADと重なるように置きます。板①と板②にできるこの正方形の板の影の面積の和は
 [   ]cm^2です。ただし,板は光を通さず,板の厚さは考えないものとします。
 
(2)
 底辺の長さが10cmで高さが10cmの二等辺三角形の板を,板②と平行に,底辺がADと重なるように置きます。板①と板②にできる二等辺三角形の板の影を,例にならって右ページの上の図にかきいれなさい。
 
(3)
 一辺の長さが10cmの正方形を底面とし,高さが10cmである四角すいの石像を,底面が正方形ABCDと重なるように置きます。この四角すいのA,B,C,D以外の頂点をOとすると,OA,OB,OC,ODの長さはすべて等しくなっています。この四角すいの石像の影が板①と板②にできます。
 
(ア)板①と板②にできる四角すいの石像の影を,(2)の例にならって右の図に書きいれなさい。
 
 解答欄
(イ)板①と板②にできる四角すいの石像の影の面積の和を求めなさい。ただし,正方形ABCDは含めません。
[解説]
 (1)は図のように真上から見た図でFとA,FとDを結んで直線を引いてXYとの交点E,E’をとり,AとDとEとE’と板②のFの影の2点の各点を結べばよく図のようになります。
 
これで面積は20×20-10×10÷2=350cm^2と出せます。
ただ(2)と(3)では板①や②に垂直または平行ではない辺が出てくるので,影はどう求めればいいかできるもう少しはっきりさせる必要があります。
そこで辺による影が影の境界になるので
 その辺の両端の点と点Fの3点を通る平面を考えて,その平面と板①や,その平面と板②の交線(平面が交わって出来る直線)が影の境界になります。
(2)
 
 二等辺三角形の頂点Gとして辺GAによる影は,3点F,G,Aを通る平面との交線になると考えます。すると直線FGと板①は平行なので板①にできる境界は点Aを通り直線FGと平行な直線上になります。
 同じように考えて辺GD側による境界も,点Dを通り直線FGと平行な直線上になります。
 
 板②の方は板①に出来た影の境界とXY上の交点と,光が点Gを通って板②に到達した点をそれぞれ結んでこのようにできあがります。
(3)同じように辺OAによる影は,3点F,O,Aを通る平面との交線になると考えます。すると直線FOと板①は平行なので板①にできる境界は点Aを通り直線FOと平行な直線上になります。
 辺OD側も同じです。
 
板②の方も同様にしてこのようにできあがります。
面積はマス目14個分より5×5×14=350cm^2とわかります。(畠田)
灘中学校 算数(1日目)2019(H31)入試分析 その3
今回は灘中学、算数1日目の大問7をとりあげたいと思います。
 一見N回目の出会いの問題に見えますが,出会いの度に折り返すし,速さも遅くなります。
 文字など置いて力技で解くこともできて,それはそれで大事なことですが,算数の速さの問題としてもアプローチの仕方
 『時間、距離、速さ、何が一定か』
 『和と差を考えてみる』
 に注目するという勉強になる良い問題と思います。
(問題)2019年度 灘中学校 算数第1日目 大問7
 A地点とB地点を結ぶ道を,太郎君はAからBへ,次郎君はBからAへ向かって,それぞれ一定の速さで同時に走り始めました。2人の間の距離は3分間に1kmの割合で縮まりました。途中,2人はC地点で出会うとすぐに折り返し,速さをそれぞれ時速1kmだけおとして,来た道を戻りました。2人はそれぞれA,Bに到着してすぐに折り返し,Cよりも130mだけAに近いD地点で再び出会いました。Dで出会った2人はまたすぐに折り返し,速さをさらにそれぞれ時速1kmだけおとして,来た道を戻りました。そして,2人はそれぞれA,Bに到着してすぐに折り返し,Dよりも[   ]mだけAに近いE地点で出会いました。
[解説]
 まず和を考えてみると
折り返してから出会いまでの太郎と次郎の進んだ長さの和が、AB二つ分で一定
 →速さの和と時間が逆比
走り始めてから最初の出会いまではAB一つ分ですが二人ともC地点から太郎はAに次郎はBに向かって同時にスタートして折り返してきて1回目の出会いになったと考えれば太郎と次郎の進んだ長さの和がAB二つ分になるので扱いやすくなります。

 二人の速さの和は
 ○~△:1÷3 km/分=1000/3 m/分
 △~☐:1 km/時=1000/60 m/分=50/3 m/分ずつ遅くなるので1000/3-50/3×2=900/3 m/分
 ☐~●:300-50/3×3=800/3 m/分
距離が一定なので(○~△),(△~☐),(☐~●)の時間の比は
1000/3:900/3:800/3=10:9:8
 なので速さの比は
 9×8:8×10:10×9=36:40:45
 となります。
次に差を考えてみると
太郎と次郎の速さの差は常に一定
 →太郎と次郎の進んだ距離の差と時間が比例
太郎と次郎は1km/時ずつ遅くなっても,差はかわりません。
 ということは太郎と次郎の進んだ距離の差は時間に比例します。
ABの中点をMとしてC,D,EをMについて対称移動した点をC’,D’,E’とすると太郎と次郎の進んだ距離の差は
 ○~△:CC’2つ分
 △~☐:DD’2つ分
 ☐~●:EE’2つ分
 それぞれ時間に比例するので36:40:45になります。
よって差の半分である図の青い線の部分も36:40:45になるのでそれぞれの長さを[36],[40],[45]とおくと
 CM=[36÷2]=[18]
 CD=[40]-[36]=[4]
 ED=[45]-[40]-[4]=[1]
 よってCD:ED=4:1よりED=130÷4=32.5m
(畠田)
灘中学校 算数(1日目)2019(H31)入試分析 その1
今年も入試問題解説をすることになりました。
 よろしくお願いします。
最初は灘中学校の1日目です。
【入試資料分析】
 まず今年の実質倍率は2.70です。
 これはほぼほぼ例年程度でした。
 (H24)2.81(H25)2.81(H26)2.97(H27)2.61
 (H28)2.67(H29)2.76(H30)2.88(H31)2.70
次に平均点ですが注目すべきは算数です。
 第1日目,2日目ともにここ数年で平均点が一番低く
 平均点が高かった去年に比べて合計で30点ほど低くなっています。
(教科,受験者平均点,合格者平均点)の順に
 (国語1日目,60.0点,63.6点)
 (国語2日目,69.1点,75.1点)
 (国語合計,129.1点,138.7点)
 (算数1日目,38.5点,49.8点)
 (算数2日目,44.5点,56.8点)
 (算数合計,83.0点,106.6点)
 (理科,64.5点,73.2点)
 (総合,276.6点,318,6点)
全体的に難易度の高い問題が並びましたが,これは解くのに無理があるであろうというような問題はありませんでした。
 算数をよく勉強してきた人にとっては,差をつけることが出来た試験であったと思われます。5割とることができたら,アドバンテージです。
【問題分析】
 ○大問1
 (17-[   ]×77) × 2019/5 = 31+3/5-7/13
[解説]
 計算問題です。
 31+3/5-7/13 = 2019/65
 2019/65 ÷ 2019/5 = 1/13
 17-1/13 = 220/13
 220/13÷77 = 20/91
 素因数に注意して約分されることを意識することで素早く正確に解けます。
○大問2
 [ア]/[イ] × [ウ]/[エ] = 1/[オ] の[ア]~[オ]に2,3,4,5,6,7,8,9の数から1つずつ当てはめて式を完成させました。ただし,同じ数を2回以上使うことはできません。また,[ア]/[イ]と[ウ]/[エ]は仮分数でもよく,これ以上約分できない分数です。このとき,[オ]に当てはまる数は[   ]です。
[解説]
 5,7は5,7を約数に持つ整数が他にないので使えません。
 残りの整数2,3,4,6,8,9において6だけ2と3の両方を約数に持つので[ア]/[イ],[ウ]/[エ]がこれ以上約分できない分数ということなので使えないので,入るとしたら[オ]だけです。
 [ア]/[イ],[ウ]/[エ]がこれ以上約分できない分数となるには3の倍数を[ア]か[イ]のどちらか,[ウ]か[エ]のどちらかに入れることになるが,残りの3の倍数は3と9だけです。
 つまり3の倍数は約分されずに残ることになるので[オ]は6以外ありません。
 [オ]だけわかればよいので素早く6と答えられたら要領が良いですね。
○大問3
 A,B,C,D,E,F,G,Hはどの2つも異なる2から9までの数字です。3桁の整数ABCとDEFを足すと4桁の整数10GHになり,この足し算で繰り上がりは百の位から千の位にだけあるとき,GとHの和は[ ① ]です。さらにこのとき,AがDより大きいとすると,ABCとして考えれる3桁の整数は全部で[ ② ]個あります。
 
[解説]
 各桁の数に関する問題のアプローチは筆算や,各桁の数の関係式を作るなどが考えられます。
 この問題は足し算で繰り上がりが百の位から千の位にだけあると書いてあるので各桁の数の関係式がたてやすいです。
 百の位A+D=10,十の位B+E=G,一の位C+F=H
 またA,B,C,D,E,F,G,Hは2から9のどれかですが、このことはよく全部足すと2+3+4+5+6+7+8+9=44で
 A+B+C+D+E+F+G+H=44であるという使い方をよくします。
 すると10+G+G+H+H=44でG+H=17とわかり,しかも(G,H)は(8,9)か(9,8)の場合しかありません。
 A+D=10,A>Dより(A,D)=(7,3),(6,4)
 (A,D)=(7,3)の時,残り2,4,5,6で和が8と9になる組み合わせは
 2+6=8,4+5=9
 よって(G,H)=(8,9)の時は(B,E)=(2,6),(8,6)の2通り,(C,F)=(4,5),(5,4)の2通り
 (G,H)=(9,8)の時は(B,E)=(4,5),(5,4)の2通り,(C,F)=(2,6),(6,2)の2通り
 で合計2×2×2=8個
 (A,D)=(6,4)の時,残り2,3,5,7で和が8と9になる組み合わせは
 3+5=8,2+7=9
 よって同様に8個で
 8+8=16個となります。
 灘の1日目でよくある問題なので練習しておきましょう。
○大問4
 これはこちらの記事で解説したいと思います。
 http://edupastaff.blog82.fc2.com/blog-entry-545.html
○大問5
 ある品物を仕入れ,利益を見込んで1個400円で売りました。しかし,いくつか売れ残ったため,売値を半額の200円にして残りをすべて売りました。その結果,売上高は26000円,利益は11600円になりました。品物1個の仕入れ値は1円未満の端数はありません。また,400円で売れた品物の個数は仕入れた品物の個数全体の6割より多く,7割より少ないことがわかっています。このとき,品物1個の仕入れ値は[ ① ]円で,400円で売れた品物の個数は[ ② ]個です。
[解説]
 合計の仕入れ値は26000-11600=14400円で
 合計の仕入れ値と売上高がわかっています。
 よって品物1個の仕入れ値と品物1個の平均の定価の比がわかるのがポイントです。
 (仕入れ値):(平均定価)=14400:26000
 =36:65
 仕入れ値と個数は整数より仕入れ値は14400の約数になります。
 400円が6割,200円が4割の時,平均定価は400×0.6+200×0.4=320円で仕入れ値は320×36/65=177.2…
 400円が7割,200円が3割の時,平均定価は400×0.7+200×0.3=340円で仕入れ値は340×36/65=188.3…
 よって仕入れ値は178,179,…,188のどれかで14400の約数なので180円
 合計の品物の個数は14400÷180=80個
 400円で売れた品物の個数はつるかめ算より(26000-200×80)÷(400-200)=50個
 算数として何か勉強になるように算数的に解きましたが,本番は数式で力技で計算して答えを出すことも大切です。
○大問6
 89の倍数と113の倍数を,
 89,113,178,226,……
 のように小さいものから順に並べるとき,50番目の倍数は[   ]です。
[解説]
 50番目までの(89の個数)と(113の個数)は
 89×(89の個数)=113×(113の個数)で目星を付けると
 (89の個数):(113の個数)=113:89
 (89の個数)+(113の個数)=50
 より
 (89の個数)=50×113/(113+89)=27.97…,(113の個数)=50×89/(113+89)=22.02…
 なので89の27倍と113の22倍付近を調べると
 89×27=2403,89×28=2492
 113×22=2486,113×23=2599
 より50番目の数は2492
 89-1=8×11,113-1=8×14で11と14では綺麗に50×14/(11+14)=28,50×11/(11+14)=22番目と綺麗に求まることから,89と113の比を考えて最後に調整しろというのがこの問題の意図なのかもしれません。
○大問7
 これはこちらの記事で解説したいと思います。
 http://edupastaff.blog82.fc2.com/blog-entry-546.html
○大問8
 右の図のような点Oを中心とする円について,斜線部分の面積の和は[   ]cm^2です。
 
円の半径をAとすると
 A×A=5×5×2=50
 二つの直角三角形の面積の和は
 12×4÷2+6×2÷2=30cm^2
図の斜線部の面積○+☐+△×2は円から2cm×10cmの長方形をのぞいた半分になっているので
 斜線部の面積は137
 (A×A×3.14-2×10)÷2=68.5cm^2
 よって求める面積は斜線部の面積から直角三角形を2つ取り除いて
 68.5-30=38.5cm^2
 今年(2019年度)の甲陽学院の算数第1日目の平面図形でも使われたよくある処理です。
 きっちり典型問題を勉強しておくということと,似たような問題と同じように解けないかアプローチの練習をしておきましょう。
○大問9
 右の図で,三角形ABCは正三角形で,面積は1cm^2です。PBの長さがPAの長さの2倍のとき,三角形CPAの面積は[   ]cm^2
 
[解説]
 正三角形の面積の問題なので正三角形のマス目が何個あるかということになるので正三角形方眼紙で考えます。
 
図より三角形APBの形をした三角形は正三角形のマス目4個分の半分よりマス目1個分の面積を[1]とすると三角形ABCの面積は[4]÷2×3+[1]=[7],三角形CAPの面積はマス目1個分の面積より[1]で三角形ABCの1/7倍。よって1/7cm^2となります。
○大問10
 表面が青色で塗られている正四面体を,底辺に平行な2枚の平面で高さを3等分するように切り,残りの3つの面についても同様に切ります。このとき,もとの正四面体はいくつかの正四面体といくつかの正八面体に分かれます。2つの面に色が塗られている立体は全部で[ ① ]個あり,3つの面に色が塗られている立体は全部で[ ② ]個あります。
 ただし,正四面体とは,右の図1のような,どの面も合同な正三角形でできている三角すいです。また,正八面体とは,右の図2つのような,どの面も合同な正三角形でできている,8つの面をもつ立体です。
 
[解説]
 まず2等分の場合は正四面体4個と正八面体1個ができました。
 
それを参考にして図のように3等分の上の2段だけで考えると,3面塗られている正四面体1個,3面塗られている正八面体1個,2面塗られている正四面体が3個あります。
 3面塗られている正方形と正八面体は1個の頂点に1セット対応(○で表す),2面塗られている正四面体は1つの辺に1個対応(△)であわらします。
 
 すると全体では2面塗られいるのは辺が6つより6個
 3面塗られいてるのは頂点が4つより2×4=8個とわかります。

 問われてはいませんが○と△を取り除いていくと,上から3段目に図のように太い線を面とした塗られている面のない正四面体が1個残ります。
 灘や難関校でよくある問題で,知っているものを使って解きましょう。
○大問11
 展開図が右の図のような立体の体積は[   ]cm^3です。ただし,実線で囲まれた三角形は3つの大きな直角二等辺三角形,3つの正三角形,3つの小さな直角二等辺三角形です。また,3本の破線は小さな直角二等辺三角形の2本の辺の真ん中を結ぶ直線です。折り方は,直角の印以外の実線が山折りで破線が谷折りです。
 
[解説]
 図のように四面体の中に四面体の穴があり,更にその四面体も頂点で内側に四面体状に折られています。
 
 これらの四面体は全て3面が直角二等辺三角形で相似です。
直角二等辺三角形の1辺が1cmの四面体の体積は1×1÷2×1÷3=1/6 cm^2
 体積の比は大きい順に
 4×4×4:2×2×2:1×1×1=64:8:1より
 (64-8+1×2)×1/6=29/3cm^3
 展開図の問題は定番で,この形は立方体から切り落としたもの,基本的な立体を組み合わせたものなどよくあるパターンを過去問で慣れておけばやりやすい問題です。
○大問12
 右の図の六角すいは,底面が正六角形でOはその中心です。頂点Pと点QはどちらもOの真上にあり,PQの長さはQOの長さの2倍です。3点A,B,Qを通る平面でこの六角すいを切り2つの立体に分けるとき,頂点Pを含む方の立体の体積はもとの六角すいの体積の[   ]倍です。
 
[解説]
 問題の図を見ると底面の正六角形が正三角形に分割されているのでPを頂点とした6つの三角すいを考えて,それらを切断して頂点Pを持つ3辺の比がそれぞれa倍,b倍,c倍になると体積はa×b×c倍になることを使うことが考えられます。
 
 図のようにABの中点M,DEの中点Nとすると三角形PMNにおいてA,B,Qを通る切断面とPNの交点RはPNの中点になっています。
 
 よって一つの三角すいの体積は全体の1/6より
 1/6×2/3×(2/3×1+1×1+2/3×1+2/3×1/2+1/2×1/2+2/3×1/2)=13/36倍
 難問ではなく標準的な問題を組み合わせた問題でしたが,よくある処理が使えないかを考えて,それを使うためには何がわかれば良いのか解法の過程が問われる良い問題です。(畠田)
ラ・サール中学校その2 入試分析 算数 2018(H30)
今回もラ・サールの問題をもう一つとりあげたいと思います。
立体図形の問題で、難しいわけではないけど切り口がどのようになるか考えていく過程にポイントがあります。
(問題)H30 ラ・サール中学校 算数 大問6
 
 図のような立方体の頂点Aから、3つの点P,Q,Rが同時に出発し、PはA-B-C-G、QはA-D-H-G,RはA-E-F-Gの順に、それぞれ辺上を同じ一定の速さで移動して、12秒後に点Gに着きます。3点P,Q,Rを通る平面でこの立方体を切ったときの切り口の面積をSとするとき、出発して4秒後のSは12㎠でした。このとき、次の場合のSは何㎠ですか。
(1)出発して3秒後
 (2)出発して6秒後
 (3)出発して7秒後
(1)12秒で3辺分進むので,4秒で1辺分進みます。

 図において4秒後は青い三角形,3秒後は黒い三角形になるので相似比は
 (青い三角形):(黒い三角形)=4:3
 面積の比は
 (青い三角形の面積):(黒い三角形の面積)=4×4:3×3
 =16:9
 よって青い三角形の面積は12㎠から
 (黒い三角形の面積)=12×9/16
 =6.75㎠
(2)6秒後の動点は辺の中点になりますが,どれも同じ平面上にないので切り口を考えるのが難しいです。
 
 そこでRとPの2点を結んだ線分を延長して面DHGCを含む平面との交点と点Qを結ぶとDCの中点(赤い点)を通ることがわかります。
 
 ここまでこれば,正六角形になるとわかりますね。
 (赤の正三角形の1辺の長さ):(青の正六角形の1辺の長さの)=1:2
 です。

 よって図より小正三角形の個数に注目して
 (赤の正三角形の面積):(青の正六角形の面積)=4:6=2:3
 (青の正六角形の面積)=12×3/2=18㎠
となります。
(3)同じように7秒後を考えたらよいわけですが、ここで(1)(2)から3秒後と4秒後と6秒後の切り口は全て平行になっていることに注目して解いてみます。
 8秒後も切り口は平行になります。
 
 と言うことは図のように3:1となる点を結んだ緑の平面になることがわかります。

 小正三角形の個数を数えて
 (青の正三角形の面積):(緑の六角形の面積)=16:22
 =8:11
 よって
 (緑の六角形の面積)=12×11/8
 =16.5㎠
 とわかりました。
わかりやすい値で具体的に切り口を考えてみると、解法の糸口がつかめて途中の切り口が見えてきます。
 このようなアプローチの仕方も取り入れてみると、点数につながります(畠田)
ラ・サール中学校 入試分析 算数 2018(H30)
ラ・サールの問題を扱いたいと思います。
場合分けの整理の仕方など基礎的なことや、テクニックまで勉強になりそうな問題をとりあげます。
(問題)H30 ラ・サール中学校 算数 大問2(2)
 何枚かのコインを横一列に並べます。3枚以上表が連続するところがある並べ方は何通りですか。次の場合について答えなさい。
 (ア)5枚を並べるとき
 (イ)6枚を並べるとき
 
(ア)
 場合の数の問題は何か基準を決めて数えるのがポイントになります。
 一つの方法として表の枚数で場合分けして数えてみましょう。
○を表,×を裏とします。
 (a)表が3枚の時
 ○○○××
 ×○○○×
 ××○○○
 の3通り
(b)表が4枚の時
 ○○○○×
 ○○○×○
 ○×○○○
 ×○○○○
 の4通り
(c)表が5枚の時
 ○○○○○
 の1通り
合計3+4+1=8通り
(イ)同じように表の枚数で場合分けして数えてみますが、更には何枚ずつにわかれるかを基準に整理してみます。
(a)表が3枚の時
 ○○○×××
 ×○○○××
 ××○○○×
 ×××○○○
 の4通り
(b)表が4枚の時
 ○○○○××
 ×○○○○×
 ××○○○○
 ○○○×○×
 ○○○××○
 ×○○○×○
 ○×○○○×
 ○××○○○
 ×○×○○○
 の9通り
(c)表が5枚の時
 ○○○○○×
 ○○○○×○
 ○○○×○○
 ○○×○○○
 ○×○○○○
 ×○○○○○
 の6通り
(d)表が6枚の時
 ○○○○○○
 の1通り
で合計20通りとなります。
このようにある基準で整理して漏れなく、ダブることなく数えることはあらゆる場合の数の問題に通じる大切なことです。
もう一つのアプローチの仕方として
 3枚以上連続しない場合を数えて全体から引く
 のように逆を考える方法もよくあるので、それでやってみましょう。
6枚の場合、全部で
 2×2×2×2×2×2=64通り
左から考えてみると
 ×(5つの場合)
 ○×(4つの場合)
 ○○×(3つの場合)
 と場合分けすることができます。
それでは5つの場合は
 ×(4つの場合)
 ○×(3つの場合)
 ○○×(2つの場合)
 と場合分けすることができます。
それでは4つの場合は
 ×(3つの場合)
 ○×(2つの場合)
 ○○×(1つの場合)
それでは3つの場合は
 ×(2つの場合)
 ○×(1つの場合)
 ○○×
それでは2つの場合は
 ×(1つの場合)
 ○×
 ○○
それでは1つの場合は
 ○
 ×
 の2通りです。
と言うことは
 (2つの場合)=(1つの場合)+1+1
 =2+1+1
 =4
(3つの場合)=(2つの場合)+(1つの場合)+1
 =4+2+1
 =7
(4つの場合)=(3つの場合)+(2つの場合)+(1つの場合)
 =7+4+2
 =13
(5つの場合)=(4つの場合)+(3つの場合)+(2つの場合)
 =13+7+4
 =24
(6つの場合)=(5つの場合)+(4つの場合)+(3つの場合)
 =24+13+7
 =44
よって
 64-44=20通り
 と求まります。
※前2つの場合の数の和になる数のことをフィボナッチ数と言ったように
 今回の前3つの場合の数の和になる数のことをトリボナッチ数と言います。
 フィボナッチ数 1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,…
 トリボナッチ数 1,1,2,4,7,13,24,44,81,…
整理する方法など基礎的な練習と、アプローチの仕方のテクニックを勉強することで得点に反映されます。
 がんばりましょう(畠田)
西大和学園中学校 入試分析 算数 2018(H30)
西大和学園中学校を取り扱います
受験者→合格者(倍率) 合格最低点
 男子:1020人→471人(2.17倍) 284点
 女子:277人→51人(5.43倍) 326点
女子の合格最低点がかなり高くなっています。
それでは答えはわかるかもしれないけど、その答えが正しいかを考えるのは難しい問題をとりあげます。
(問題)H30 西大和学園中学校 算数 大問4
 図1は1辺の長さが1cmの正方形8個の辺をぴったりとくっつけて作った六角形です。この図形を図2のように4つに切りわけて,くっつけ直すと図3のような面積が8㎠の正方形になります。
 
(1)図1を3つに切りわけて面積が8㎠の正方形をつくりたいとき,どのように切りわければよいですか。解答用紙の図に線をかきこみなさい。
(2)図4は1辺の長さが1cmの正方形15個の辺をぴったりとくっつけて作った図形です。図5は図4の図形の中に正方形3個をぴったりとくっつけた長方形Xを5個をしきめたものです。このように図4の図形の中に長方形Xをしきつめる方法は,図5の場合をふくめて全部で何通りありますか。
 
(3)図6は1辺の長さが1cmの正方形64個の辺をぴったりとくっつけて作った1辺の長さが8cmの正方形です。この問題では1辺の長さが1cmの正方形を「小正方形」,1辺の長さが8cmの正方形を「大正方形」と呼ぶこととします。「大正方形」の中に,「小正方形」3個をぴったりとくっつけた長方形を21個しきつめたとき,しきつめられない「小正方形」が必ず1つあります。それはどの「小正方形」ですか。しきつめられない「小正方形」をすべて黒くぬりつぶしなさい。
 
(4)同じ大きさの正方形の頂点を1つの点に集めると図7のようにすきまなく並べることができます。このような正多角形は正方形をふくめて全部で何種類ありますか。
 
(1)このような問題は例に注目してみるとヒントになったりします。

 正方形のマスの対角線2つ分が、くっつけ直してできた正方形の辺1つ分になることがわかります。
 つまり正方形のマスの対角線4つ分を切るように切ればよいので例えば次のようになります。
(2)
 

 図のように①の正方形のマス目に横に長方形を入れて②のマス目に縦に長方形を入れると残りは2通りの入れ方があります。
合計4通りです。
(3)答えはわかるかもしれません。
 前の問いがヒントになってることが多いので、それを元に考えると

 図のようにすれば真ん中の4×4のところに(2)の入れ方をすればよいので右上の小正方形が空きます。

 そして対称性から回転させて図の4箇所はしきめられない小正方形となりえます。
しかし本当にこれだけなのかはわかりません。
ここからは次の数学的な論法で考えます。
 条件を満たすのはどの場合しかありえないか絞る(必要条件により絞る)
 →実際にその場合は可能である例を挙げる(十分であることを言う)
まず次のように小正方形を白と青と緑に塗り分けます。

 白は21個,青は22個,緑は21個あります。
 青だけ1個多いです。
このように塗り分けると、どのように長方形を1つしきつめても白1個,青1個,緑1個を埋めることになります。
 長方形を21個うめると、青だけ1個残ることになります。
つまりしきつめられない場所は青の部分に絞られます。
更に対称性を利用して青の部分の赤い直線について対称な部分を赤に塗ります。

 しきつめられない場所は赤の部分でもなければなりません。
 なので青と赤の共通部分の紫の部分に絞られます。
そして紫の部分がしきつめられない例はさきほど書いたように存在しているので紫の小正方形4箇所が答えとなります。
塗り分けは算数オリンピックでも使われているテクニックです。
(4)は簡単に書きます。
 これも答えは簡単にわかりますが,それが正しいのか論理的に書いておきます。
 すきまなく並べられる正多角形の内角は360°の約数であることから大きい方から360°と180°のぞいて120°,90°,…なので120°以下です。
 そして正多角形の内角は正三角形の場合が一番小さく60°以上です。
 正三角形は60°,正四角形は90°,正五角形は108°,正六角形は120°でこのうち360°の約数になってるのは60°,90°,120°の3種類とわかります。
試験中にしきつめられない箇所は4箇所しかないことを示すのは難しいとは思うので,まずは前の問いをヒントに答えを書けることが目標です。
 余裕があれば何故正しいのか,解法の道具や,考え方も勉強すると答えに漏れがあるかもしれない意識が芽生え点数につながっていくと思います(畠田)
洛星中学校 入試分析 算数 2018(H30)期
今回は洛星中学校の前期を扱います。
きっちりそれが答えであると言うことを判断するのが難しい問題です。
(問題)H30 洛星中学校 前期 算数 大問6
 たて1cm,高さ1cm,横2cmの直方体を【2ブロック】,
 たて1cm,高さ1cm,横3cmの直方体を【3ブロック】,…
 のように呼ぶことにします。ただし,横の長さは整数とします。
 
たて1cm,高さ1cmで横が十分に長い箱を3個用意し,図のように左端をそろえて並べます。これらの箱に,ブロックを左端から順に,次の<<ルール>>にしたがってつめていきます。
 
<<ルール>>
 ① ひとつの箱には,同じ種類のブロックを左端から順につめる
 ② 箱ごとに異なる種類のブロックを使う
このように順につめたとき,左端から何cmかのところで,初めて3つの箱のブロックの右端がすべてそろうところがあります。この長さを「そろった長さ」と呼ぶことにし,左端からそこまでをつめるのに使ったブロックの個数の合計を「使った個数」と呼ぶことにします。
たとえば,【2ブロック】【3ブロック】【4ブロック】を使ってつめるとき,「そろった長さ」は12cmで,「使った個数」は13個です。
 
(1)【4ブロック】【5ブロック】【6ブロック】を使ってつめるとき,「そろった長さ」と「使った個数」を求めなさい。
(2)【3ブロック】【8ブロック】ともう1種類のブロックを使ってつめたところ,「そろった長さ」は72cmとなりました。もう1種類のブロックは何ですか。考えられるものをすべて答えなさい。
 ただし,「【4ブロック】,【5ブロック】」と答えるときは,4,5のように答えなさい。
(3) 3種類のブロックを使ってつめたとき,「そろった長さ」は180cmとなりました。このようなブロックの組み合わせを考えるとき,
 (ア) 「使った個数」が一番少ない場合
 (イ) 「使った個数」が一番多い場合
 について,3種類のブロックと「使った個数」をそれぞれ答えなさい。
 ただし,(ア)も(イ)も【1ブロック】と【180ブロック】は使わないものとします。
そろった長さはブロックのLCM
 使った個数はLCM÷(ブロックの横の長さ)の和となります。
(1)(2)は簡単に答えます。
(1)使った長さは4,5,6のLCMで60cm
 使った個数は60÷4+60÷5+60÷6=15+12+10=37個
(2)3と8とAのLCMが72となるようなAを求めることになります。
 72=3×3×2×2×2
 なのでAは9の倍数かつ72の約数より
 9,18,36,72とわかりました。
(3)
 (ア)「使った個数」が一番少なくなるのはブロックの横の長さが基本的には大きければ良いので180の約数で180を除いて大きい順に考えてみると90,60,45,…です。
 ところが90,60,45のLCMは180なのでこの組み合わせは可能なので、この時が「使った個数」は一番少なくなることがわかってしまいます。
 【45ブロック】【60ブロック】【90ブロック】の場合で
 180÷90+180÷60+180÷45=2+3+4
 =9個
(イ)180=2×2×3×3×5よりブロックの横の長さは
 2×2と3×3と5の素因数を持つものがないといけません。
「使った個数」が一番多くなるには,ブロックの横の長さを基本的には短くする必要がありますが単純に比べるのが難しいので場合分けして整理して考えます。
3つの素数
 大,中,小
 があってLCMが
 小×小×中×中×大
 になるような3つの整数を考えることになります。
○小×小と中×中と大がそれぞれ別々の場合
 (小×小,中×中,大)
 の組み合わせが「使った個数」が一番多い場合になります。
 つまり(4,9,5)で180÷4+180÷9+180÷5=45+20+36=101個
○小×小と中×中と大のうち2つがセットになる場合
 1つがフリーになるので「使った個数」が一番多くなるには小を1つ使う場合に限られます。
(a) 小×小と中×中がセット
 「使った個数」が一番多いのは
 (小,小×小×中×中,大)
 つまり(2,36,5)で180÷2+180÷36+180÷5=90+5+36=131個
(b) 小×小×大がセット
 「使った個数」が一番多いのは
 (小,小×小×大,中×中)
 つまり(2,20,9)で180÷2+180÷20+180÷9=90+9+20=119個
(c) 小×小×大がセット
 「使った個数」が一番多いのは
 (小,小×小,中×中×大)
 つまり(2,4,45)で180÷2+180÷4+180÷45=90+45+4=139個
○小×小と中×中と大がセットになる場合
 180になるので不適です。
以上より「使った個数」が一番多いのは
 【2ブロック】【4ブロック】【45ブロック】の場合の139個
本番中には完璧な論理で「使った個数」が一番多い場合など考えるのは難しいかもしれませんが,単純に小さければいいと言うわけではない問題があることをこの問題を通して知っておいて,あらゆるパターンを実際に書いてみて考えましょう(畠田)
六甲中学校 入試分析 算数 (A日程) 2018(H30)
今回は六甲学院中学校のA日程です。
今年は238人の受験者数に対して168人の合格者。実質倍率が1.42倍です。
各教科の受験者平均が,国語96.4/150点,算数94.7/150点,理科59.9/100点に対して
 合格者平均が,国語100.7/150点,算数108.1/150点,理科63.6/100点です。
 この受験者平均と合格者平均の国語と理科の差が小さいだけに算数の合否への影響が大きいです。
それでは問題を取り上げます。
(問題)H30 六甲学院中学校 A日程 算数 大問4
 各辺を5等分した正方形に,右の図のような三角形㋐,㋑,㋒,㋓を作りました。㋐,㋑,㋒の面積がそれぞれ3㎠,1㎠,2㎠のとき,㋓の面積は何㎠ですか。
 
(㋒+㋐):(㋓+㋑)=(青の面積):(緑の面積)=2:1
 より
 ㋓+1=(2+3)÷2=2.5㎠
 ㋓=1.5㎠
等積変形など普段の勉強がそのまま点数につながります。
 確実に稼げるようにがんばりましょう。(畠田)
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