入試問題解説
東大寺学園中学校 算数 2020(R2)入試分析
今回は東大寺中学を扱います。
【資料分析】
倍率は去年と変動はありませんでした
受験者数 791名→834名→894名→911名→884名→909名
合格者数 325名→347名→364名→373名→351名→361
実質倍率 2.43 →2.40 →2.46 →2.44→2.52→2.52
算数の受験者平均と合格者平均の差は17.6点とかなりあり、算数は差がつきやすいのでしっかりやるべきなことがわかります。
各教科の平均点は
(合格者平均 全体平均 満点)の順に
国語(61.8 56.6 100)
算数(69.5 51.9 100)
理科(73.6 66.5 100)
社会(69.7 65.3 100)
算数の受験者平均は
51.9点→62.4点→53.4点→53.8点→47.0点→51.9点
と推移していて低めとなりました。
【問題分析】
大問1…(1)素因数分解とか意識するタイプの計算問題です。(2)よくやったことあるような最大公約数の問題です。(3)微妙に工夫が必要な体積の問題です。満点狙いたいところです。
大問2…食塩水の問題です。よくやったことある問題だと思うのでしっかりあわせたいところです。連立方程式でごり押しでも何でもいいのであわせたいところです。
大問3…(1)円を動かす面積の問題です。①が②の誘導になっていて、アプローチの仕方が見えてきます。ぜひやって欲しいよく出来た問題です。
(2)普通の比の問題と見せかけて意外とわかりにくいです。文字を置いて方程式みたいにしたらいいですが、うまくやれば算数的に解けます。色々考えてみましょう。シンプルであるが意外と解けないという(1)(2)ともにさすが東大寺らしいよく出来た問題なので考察をしておきましょう。
大問4…今回はこの問題を解説します。
(問題)R2 東大寺学園中学校 算数 大問4
太郎君と花子さんが1,2,3,4,5,6の6種類の数字だけを並べて整数を作ります。ただし,同じ数字を何回用いてもよいとします。たとえば3けたの整数を作るときは222や353などの整数も作ることができます。太郎君の作る整数をA,花子さんの作る整数をBとするとき,次の問いに答えなさい。
(1)①2人とも2けたの整数を作るとき,B=2×AとなるようなA,Bの組は何組あるか答えなさい。
②2人とも2けたの整数を作るとき,B=2×A+1となるようなA,Bの組は何組あるか答えなさい。
(2)2人とも3けたの整数を作るとき,B=2×AとなるようなA,Bの組は何組あるか答えなさい。
(3)2人とも5けたの整数を作るとき,B=2×AとなるようなA,Bの組は何組あるか答えなさい。
[解説]
(1)①②まずは実際に書きくだしてみましょう。
①のB=2×Aは11組
②のB=2×A+1は10組
とわかりました。
(2)
(1)で書きくだしていってみた結果
B=2×Aでは一の位は1,2,3,6しか使えないことがわかります。
B=2×A+1では一の位は1,2,5,6しか使えないことがわかります。
ということは一の位で場合分けがポイントと予想できます。
一の位で場合分けして書きくだしていってみると
・一の位が1,2,3の時…2倍しても繰り上げが起こらないので十の位以上に影響を与えません。
だから百の位と十の位の2桁は(1)の①のB=2×Aの2けたの並びということがわかります。
・一の位が6の時…2倍すると繰り上げが起こるので十の位は1大きくなります。
だから百の位と十の位の2桁は(2)の②のB=2×A+1の2けたの並びということがわかります。
よって11×3+10=43組とわかりました。
(3)同じように4桁の場合を作るには3桁のB=2×A+1が必要なので数え上げてみます。
・一の位が1,2の時…2倍しても繰り上げが起こらないので上から2桁はB=2×Aの2桁の並びになります。
・一の位が5,6の時…2倍すると繰り上げ起こるので,B=2×A+1の2桁の並びということがわかります。
よって11×2+10×2=42組とわかりました。
同様にしていくと
4桁のB=2×Aは43×3+42=171組
4桁のB=2×A+1は43×2+42×2=170組
5桁のB=2×Aは171×3+170=683組
この問題は書き下していって規則性を見つけるということが出来るかを問われています。
よく考えられていて練習するのにも良い問題です。
このようなアプローチを練習しておくようにしておきましょう!(畠田)
開成中学校 理科 問題解説&入試分析★2020年(R2年)
今回は開成中学の理科をとりあげます。
【入試資料分析】
受験者数は今年も例年通りでした。
理科は(合格者平均 全体平均 満点)の順に(56.0 48.1 70)
でした。
ここ数年では低めです。
【問題分析】
○大問1…天体の問題です。基礎をしっかりおさえていれば細かいところまでは問われませんが,問題文を読み取って答える力が求めれます。
○大問2…手回し発電機の問題です。今回はこの問5をこれを扱いたいと思います。
○大問3…溶解度の問題で基礎的な計算、知識しか求められていませんが表を読み取り、どうなるのか推論する力が必要です。
○大問4…植物の問題ですが植物の知識問題はなく、全てその場で読解して解く問題です。問題文も長く,表やグラフも多いので処理能力が求められます。印をつけて成長を調べる類題はあるので,しっかり練習しておきたいところです。
(問題)令和2年 開成中学校 理科 大問2
手回し発電機とはモーターに手回しハンドルを付けたもので,以下では,手回し発電機のハンドルの回転方向を,ハンドルの側から見て「時計回り」,「反時計回り」と表します。
はじめに,図1のように手回し発電機G1(以下ではG1と表します)と豆電球を接続します。ハンドルを時計回りに手で回転させると豆電球が点灯します。このとき,電流は黒いたんしから出て豆電球を通過して白いたんしに入ります。
次に,図2のようにG1のハンドルにはさわらずに,かん電池を接続すると,ハンドルは時計回りに回転します。
最後に,図6のようにG1とコンデンサーを接続し,G1のハンドルを時計回りにしばらくの間手で回転させ,ハンドルから手をはなします。
問5 図6において下線部③の直後,G1のハンドルはどのようになりますか。正しいものを,次のア~オの中から一つ選び,記号で答えなさい。
ア すぐに回転が止まり,そのまま回転しない。
イ すぐに反時計回りに回転し始め,だんだん回転が速くなる。
ウ すぐに反時計回りに回転し始めるが,だんだん回転がおそくなる。
エ 時計回りに回転し続け,だんだん回転が速くなる。
オ 時計回りに回転し続けるが、だんだん回転がおそくなる。
[解説]
図1と図2からモーターはハンドルを時計回りに回すと黒いたんし側が電圧が高くなります。
またモーターの黒いたんしへ電流を流すとハンドルが時計回りするということがわかりました。
まずG1のハンドルを時計回りに回すと黒いたんしの方が電圧が高くなり黒いたんしからコンデンサーに向かって電流が流れます。
だからコンデンサーは充電されて黒いたんし側が+極、白いたんし側が-極の電池になります。
ハンドルから手を放すとコンデンサーのG1の黒いたんしとつながっている側の電圧が高くなるのでコンデンサーから黒いたんしに向かって電流が流れます。
よってハンドルは時計回りに回ることがわかります、
しばらくすると、充電されたコンデンサーに蓄えられた電気が少なくなってきてだんだん回転が遅くなりオとわかります。
問題文にハンドルを回した時に流れる電流の方向と同じ方向に電流を流すとハンドルは逆に回ることは書いてありますが,何故そうなるのかも考えてみてください。
必要な知識は基礎的なものですが,開成らしく読解力と正確な処理が求められます。
がんばってください(畠田)
開成中学校 算数 問題解説&入試分析★2020年(R2年)
今回は開成中学をとりあげます。
【入試資料分析】
受験者数は今年も例年通りでした。
受験者数1188人,合格者397人,倍率3.0
算数の合格者平均は6割を切っており,ここ数年では一番低くなりました。
どの問題も問題文の理解も難しく典型的でもないものがほとんどで全体的にかなり難しかったようです。
合格最低点218点
各教科の平均点は
(合格者平均 全体平均 満点)の順に
国語(51.5 42.3 85)
算数(49.5 38.6 85)
理科(56.0 48.1 70)
社会(54.3 50.0 70)
【問題分析】
○大問1…グラフからAとBの速さの差がわかり,速さを組み合わせます。例えば1分から2分の間は差が45cm/分なので停止と毎分45cmの組み合わせしかないなど場合分けしてけます。意外と場合分けが多くなく数学的には簡単ですが,問題文の理解や,どう考えていけばいいか,開成らしい難しさだったと思います。
○大問2…問題文はそんなに長くなく、計算は角速度を使うぐらいではありますが,①の移動の開始時と,④の移動の時間を調節しないと解けないので,問題の把握が難しかったと思います。
○大問3…今回はこれを扱いたいと思います。
○大問4…光が平行なタイプの影の問題です。この問題が一番理解がしやすく,アプローチの仕方もわかりやすかったと思いますが展開図に影を塗るのが間違えそうになるので,処理能力が求められています。
(問題)令和2年 開成中学校 算数 大問3
あるクラスで,生徒全員から決まった金額を集めることになりました。そこで,学級委員の太郎君と花子さんは集めやすくするために次のようなルールを作りました。
ルール1 使えるお金は1円玉,5円玉,10円玉,50円玉,100円玉,500円玉の6種類の硬貨とする。
ルール2 おつりの無いように持ってくる。
ルール3 硬貨は,1人につき10枚まで持ってくることができる。
(1)クラスの生徒40人から28円ずつ集めることにしました。
(ア) ルールに合うように28円を持ってくる方法は全部で何通りありますか。
(イ) 集まったお金のうち,1円玉を数えたら165枚ありました。このとき,5円玉を1枚も持ってこなかった生徒は何人ですか。
(2)このルールについて,太郎君と花子さんは次のようなやり取りをしています。空らん①~⑧にあてはまる数を答えなさい。
太郎 「集める硬貨が多くなり過ぎないようなルールを決めたけど,このルールだと集められない金額ってあるよね。」
花子 「たしかにそうね。例えば389円を用意するとしたら,ルール1とルール2を守れば,最低でも[ ① ]枚の硬貨が必要だから,ルール3を守れないわね。」
太郎 「このような金額ってどれくらいあるのかな。」
花子 「そのうち一番低い金額は[ ② ]円だとわかるけど,たくさんありそうね。」
太郎 「49円までの金額を用意するのに必要な最低枚数の表を作ってみたよ。」

花子 「なるほど,この情報と50円玉,100円玉,500円玉の組み合わせを考えると,ルール1とルール2を守れば,ルール3を守れないものは,300円までの金額では[ ⑦ ]通りあり,1000円までの金額では[ ⑧ ]通りあるわね。」
太郎 「次に集めるときはルールを考え直してみないといけないね。」
(1)
(ア)

表を書くのがお決まりの処理です。
4通り
(イ)28円になるには1円玉は3枚か8枚かの二択です。
3枚使った人は5円玉を必ず持ってきています。
1円玉を8枚使った人は硬貨は残り2枚しか持ってこれないので10円玉2枚に決まり5円玉を持ってきていないのでこの人数を求めたらよいことがわかります。
つるかめ算から全員1円玉を3枚使ったとすると1円玉は40×3=120枚になるので1円玉8枚使った人数は
(165-120)÷(8-3)=9人
(2)
①
390円をルール1とルール2を守って出来るだけ枚数を少なくするには金額の大きい硬貨を出来るだけ持ってきた場合です。
500円玉は使えない
100円玉は出来るだけ使って3枚で残り389-100×3=89円
50円玉は出来るだけ使って1枚で残り89-50=39円
10円玉は出来るだけ使って3枚で残り39-10×3=9円
5円玉は出来るだけ使って1枚で残り9-5=4円
1円玉は4枚必要で
3+1+3+1+4=12枚必要となります。
②
一番低い金額で枚数を出来るだけ多くするには
金額の小さい硬貨を,金額の大きな硬貨で繰り上げにならないように出来るだけ使っていきます。
11枚になればよいので
1円玉を4枚で残り11-4=7枚
5円玉を1枚で残り7-1=6枚
10円玉を4枚で残り6-4=2枚
50円玉を1枚で残り2-1=1枚
100円玉を1枚
よって1×4+5×1+10×4+50×1+100×1=199円
③④⑤⑥
500円玉は1枚まで,100円玉は4枚まで,50円玉は1枚まで,10円玉は4枚まで,5円玉は1枚まで,1円玉は4枚までのルールで数えてください。
要領よく解くとすれば49円までなら
10円玉4枚と5円玉1枚と1円玉4枚の10×4+5×1+1×4=49円の4+1+4=9枚
から選ぶことになりますが
選んだ☐円で△枚の硬貨に対して,残りの硬貨は49-☐円で9-△枚になっています。
だから5枚の場合は9-5=4枚の場合と同じ9通り
6枚の場合は9-6=3枚の場合と同じ7通り
7枚の場合は9-7=2枚の場合と同じ5通り
8枚の場合は9-8=1枚の場合と同じ3通り
とわかります。
⑦
0円~49円まではわかっているので50円~99円は50円玉を1枚追加して考えればよいことがわかります。
表より一つ追加して10枚をこえるものはありません。
同様にして100円~149円は100円玉を1枚追加で表より10枚をこえるものはありません。
150円~199円は100円玉1枚と50円玉1枚の2枚追加で10枚をこえるものは表の最低枚数9枚の1通りに対応して1通り
200円~249円は100円玉を2枚追加で10枚をこえるものは同様に1通り
250円~299円は100円玉2枚と50円玉1枚の3枚追加で10枚をこえるものは表の最低枚数
8枚と9枚に対応して1+3=4通り
300円は100円玉3枚で大丈夫です。
よって1+1+4=6通りとわかります。
⑧同様にして
300円~349円…4通り
350円~399円…9通り
400円~449円…9通り
450円~499円…16通り
500円~549円…0通り
550円~599円…1通り
600円~649円…1通り
650円~699円…4通り
700円~749円…4通り
750円~799円…9通り
800円~849円…9通り
850円~899円…16通り
900円~949円…16通り
950円~999円…25通り
1000円…0通り
よって
(1+4+9+16)×4-16+25=129通り
この問題は小さい数字で実験をしてみて規則性を発見するのに良い練習の問題です。開成でよく出るタイプのアプローチなのでしっかり練習していきましょう。がんばってください(畠田)
甲陽中学校 算数(2日目) 2020(R2)入試分析
甲陽学院中学算数2日目の問題をとりあげたいと思います。
1日目の記事に書いたように平均点は
54.0→56.3→61.4→53.1→47.5→54.3→58.3→40.3→50.4
とほぼ例年通りになりました。
【問題分析】
大問1…(1)は計算問題です。(イ)は(ア)を利用しろ言わんばかりです。(2)は9倍がほとんどの数が桁が大きくなったりなど、絞りやすいのできっちり合わせたいところです。
大問2…ベン図を描いて例えば3つもらった人をAとあらわすと他のところは全てAであらわせます。算数的な解法としては三つ出来るだけ重なった場合や,重ならなかった場合を考えればよいです。難しいわけではありませんが、ごり押しでできるので合わせておきたいところです。
大問3…距離が同じ場合は時間は速さの逆比になるということを使います。追いこしは差の速さを考えたいので,いったんT-U間を距離2倍で考えても良いと思います。T-U間の処理が少し複雑になるだけで旅人算の難易度としては低いので点数をとりましょう。
大問4…1×2×3×…×2020は下から0がいくつありますか?という問題と同じです。5で何回割り切れるかということをやっているという意味を考察しておく必要があります。
大問5…フラフープの問題です。ちょうど今年は灘でもフラフープの問題が出ました。きっちり練習して類題をやった状態に持っていきましょう。
大問6…今回はこれを解説します。
(問題)R2 甲陽学院中学校 算数(第2日) 大問6
底面の半径が3cm,高さが14cmの円柱があります。この円柱の下側の底面の円周上の点Aから,点Aの真上にある上側の底面の円周上の点Bまで,側面に糸をたるまないように巻き付けます。今,点Aから点Bまで,青い糸を上から見て時計回りにちょうど3周,赤い糸を上から見て反時計回りにちょうど4周,それぞれ巻き付けました。
(1)青い糸と赤い糸は何回交わりますか。ただし,2点A,Bは除きます。
(2)2点A,Bを除く,青い糸と赤い糸が交わった点に,高さの低い方から順に①,②,③,…と番号をつけます。そして①と③,②と④,③と⑤,…と,ひとつとばしの番号の点と点を,それぞれ側面上でもっとも短く,たるまないように青い糸で結びます。次に赤い糸をはずします。最後に側面上で青い糸で囲まれた部分に青い色をぬります。このとき色をぬった部分の面積を求めなさい。ただし,円周率は3.14とします。
[解説]
(1)青い糸と赤い糸の交点を次のように読みかえします。
足裏に青いインクをつけたアリと,足裏に赤いインクをつけたアリを考えてインクの跡が糸と考えます。
真上から見ると,青アリと赤アリは同じ地点から同時に青アリは時計回りに3周,赤アリは反時計回りに4周進んで、この2匹のアリが出会った点が交点に対応します。
よって出会った回数は3+4-1=6回
(2)このような糸の問題は展開するのがよくあるアプローチです。
青い糸はABを3等分した点を結んでいけばよいことになりますね。
この上から赤い糸を描いても考察してもいいですが,青アリと赤アリの出会あったから次の出会いまでの時間は一定です。
ということは青い糸と赤い糸の交点は青い糸を6+1=7等分することになります。
青い糸の1周分の長さを[7]とすると交点は図のようになります。
よって緑の平行四辺形と緑の中の紫の斜線部の台形との比は高さは共通なので
(上底)+(下底)の比を考えて
([7]+[7]):(([1]+[3])+([2]+[3]))=14:9
緑の平行四辺形の面積は
(2×3×3.14)×(14÷3)=3.14×28 cm^2
よって紫の面積は緑の中のを2倍して
(3.14×28×9/14)×2=113.04cm^2
この問題は似たような問題で使った解法は使えないか練習していくことで、アプローチが出来るようになっていくと思います。普段から試行をしてみて練習をしましょう。
がんばってください。(畠田)
甲陽中学校 算数(1日目)2020(R2)入試分析
甲陽学院中学算数1日目の問題をとりあげたいと思います。
【入試資料分析】
受験者数 389名→363名→350名→349名→317名→382名→369名→402名→393名→383名
合格者数 218名→216名→219名→219名→215名→220名→219名→222名→220名→217名
実質倍率 1.78倍→1.68倍→1.60倍→1.59倍→1.47倍→1.74倍→1.68倍→1.81倍→1.79倍→1.76倍
少し高めの倍率となりました。
各科目の得点情報は算数1日目は例年程度、2日目は去年がかなり低かったですが今年は少し低めな程度になりました。
。
受験者平均
国語① 64.9→49.4→63.1→62.0→56.5→53.6→55.2→56.9→63.3
国語② 59.9→59.0→69.5→49.3→60.7→59.7→52.8→60.8→64.5
算数① 56.0→49.8→60.3→62.1→58.3→58.9→62.1→63.8→60.7
算数② 54.0→56.3→61.4→53.1→47.5→54.3→58.3→40.3→50.4
理科 54.7→52.1→67.9→53.7→59.8→56.9→47.9→62.8→53.9
合格者平均
国語 132.0→114.9→138.1→117.7→125.4→119.9→117.1→125.2→133.5
算数 128.6→122.6→138.3→127.2→119.0→130.5→141.4→122.6→129.0
理科 58.8→58.1→71.7→57.1→59.8→60.6→53.3→67.6→58.6
算数の(①の平均点)+(②の平均点)は
110.0→106.1→121.7→115.2→105.8→113.2→120.4→104.1→111.1
これと合格者平均との差は
18.6→20.5→16.6→12→13.2→17.3→21→18.5→18
それなりに算数は差がついたように思います。
【問題分析】
大問1…(1)は計算問題。(2)は角度の問題。どちらもかなり基本的でした。
大問2…(1)正方形はお決まり。長方形は縦の辺になる2本,横の辺になる2本の選び方です。今回はこの(2)を扱いたいと思います。
大問3…正三角形と比の問題でよく練習してきたと思います。(2)は少し複雑になりますが答えをしっかりあわせたいところです。
大問4…変態メーターの問題です。(1)は辞書式順列で数学でもよく出題されます。(2)は各桁ごとにその桁が何回あらわれたか計算でよく練習させられてきたと思います。
大問5…旅人算の問題ですが華麗なテクニックで解くタイプではなく,文章を正確に読み取りダイアグラムなどで把握することが問われた問題でした。
大問6…切断の応用問題です。やることは切断の問題と同じです。
(問題)R2 甲陽学院中学校 算数(第1日) 大問2
次の(1),(2)の図は同じ大きさの正方形を並べたものです。この図の中に正方形,長方形(正方形をふくむ)は,それぞれ何個ありますか。
(1)

(2)

[解説]
(1)の略解
正方形は
25+16+9+4+1=55個
長方形は
(6×5)/(2×1)=15,15×15=225個
(2)
・正方形の個数
(1)で数えた正方形のうち左下のマスと右下のマスを使ったものを取り除きます。

1×1の正方形は赤の2個
2×2の正方形は青の2個
3×3の正方形は緑の2個
4×4の正方形は紫の2個
5×5の正方形はピンクの1個
よって55-(2+2+2+2+1)=46個
・長方形の個数
(1)で数えた長方形のうち左下のマスと右下のマスを使ったものを取り除きます。

左下のマスを使ったものは図のように赤の2本と青と緑から1本ずつ選んで5×5=25通り
右下のマスを使ったものも同様に25通り

左下と右下のマスを両方つかったものは図のように赤の3本と青から1本選んで5通り
よって225-(25+25-5)=180個
典型の問題から少し工夫している問題です。このような典型から崩された問題は、実際に数え上げようとしてみることでアプローチの仕方が見つかっていくと思います。
頑張ってください(畠田)
筑波大学附属駒場中学校 理科 問題解説&入試分析★2020年(R2年)
今回は筑波大学附属駒場中学校の理科の問題を取り上げます。
【問題分析】
大問1…筑駒の定番の問題です。今回はこれを扱います。
大問2…モーターの問題です。簡単な問題なので落ち着いて素早く処理して満点狙いましょう。
大問3…あらゆる分野からの基本的な知識を問われています。単にワードを覚えるのではなく、そのワードが関連してることを覚えておきましょう。
大問4…昆虫の問題です。ナナホシテントウの頭と胸と腹の区別を覚えないといけないのではなくて3対の足がついてるのが胸ということから読み取れという考察が問われています。食べるエサも覚えていなくても,都会なのでテントウムシ見たことありませんという人も「春になると草むらの草の先たんなどによくナナホシテントウが見られる」いるというリード文である程度、アブラムシとわかります。
大問5…発芽条件の問題で,文章が長いですがサっと満点を狙いたいところです。光が影響する種類もあることを考慮するのを忘れないように。
大問6…溶解度を表から読み取り計算する基礎的な問題です。筑駒は時間が厳しいので素早く正確に解けるように練習しておきたいです。
大問7…熱と燃焼の問題です。簡単なので時間がなくてできなかったということは絶対にないようにしたいところです。
(問題)2020年度 筑波大学附属駒場中学校 理科 大問1
黒い積み木を10個、城井積み木をA,B,C,Dを1個ずつと板で作ったてんびんを用意した(図1)。いずれの積み木も底面の大きさが等しい直方体で、黒い積み木とAの重さを等しく、B、C、Dの重さはそれぞれAの2倍、3倍、4倍である。てんびんは中央に支点があり、左右5か所ずつ区切った場所に、支点から外に向かって①~⑤と番号をつけた。この場所に黒い積み木を置いて土台とし、その上に白い積み木を積むこととする。また、何も置いていないとき、板は水平のままであった。以下の分に続く後の各問いに答えなさい。
【操作1】黒い積み木を板に置いて土台を作る。次の(1),(2)の場合、板が水平のままとなる土台が何通りできるか調べた。ただし、左右を入れかえただけのものは同じ置き方とし、1通りと数える。
(1)板の左右に2個ずつ、4個とも違う番号に置いた(左右で同じ番号に置かない)場合
(2)板の左に2個、右に1個置いた場合
【操作2】操作1の(1)で板が水平のままとなる土台を、次のルールにしたがって4けたの数で表した。
黒い積み木を左の①と⑤、右の②と③に置いた場合、板の左はしから順に⑤①②③と並んだことになる。これを4けたの数5123(図2の上)と表す。3215(図2の下)も同じ置き方と考えるので、大きい方の5123をこの土台を表す数とする。
【操作3】操作1の(1)で板が水平のままとなる土台のうち、操作2で表した4けたの数が最も大きな土台を用意し、黒い積み木の上に白い積み木を積む。次の(3)、(4)の場合、板が水平のままとなる積み木が何通りあるか調べた。
(3)4個の黒い積み木の上に、白い積み木A~Dを1個ずつ積んだ場合
(4)4個の黒い積み木から選んだ3個の上に、白い積み木A、B、Cを1個ずつ積んだ場合
【操作4】操作3の(4)で板が水平のままとなる積み方では、黒い積み木が置かれていない場所が6か所ある。このすべてに黒い積み木を1個ずつ置いた後、板がどうなるか調べた。
1.操作1の(1)、(2)では、板が水平のままとなる土台はそれぞれ何通りできますか。
2.操作3で用意した土台を表す4けたの数を書きなさい。また、操作3の(3)、(4)では、板が水平のままとなる積み方はそれぞれ何通りありますか。
3.操作4の結果、どうなると考えられますか
ア 白い積み木の積み方によらず、板の左はしが下がる。
イ 白い積み木の積み方によらず、板は水平のままとなる。
ウ 白い積み木の積み方によらず、板の右はしが下がる。
エ 白い積み木の積み方によって、板の右はし、または左はしが下がるが、水平のままになることはない。
オ 白い積み木の積み方によって、板の右はし、または左はしが下がる。あるいは水平のままとなる。
[解説]
1.(1)黒い積み木は全て同じ重さです。
よってモーメントの大きさは番号に比例することになるので
(左の二つの番号の和)=(右の二つの番号の和)
となればよくなります。
異なる4つの数字を使うので使わない数字は1つになりますが
5つの数字の和は1+2+3+4+5=15の奇数なので、使わない数字を取り除くと和は偶数である必要があるので使わない数字は奇数となります。
1を使わないとき 和は(15-1)÷2=7で 2+5=3+4
3を使わないとき 和は(15-3)÷2=6で 1+5=2+4
5を使わないとき 和は(15-5)÷2=5で 1+4=2+3
の3通り
(2)
(左の二つの番号の和)=(右の一つの番号)
となればよくなります。
左の二つの番号の和は小さくて1+2=3なので
3=1+2
4=1+3
5=1+4,2+3
の4通りとわかります。
2.4けたの数が最もおおきな土台は(1)より5234
(3)白い積み木の重いさの比はA:B:C:D=1:2:3:4です。
5×☐+2×☐=3×☐+4×☐
の☐に1,2,3,4を1つずつ入れる方法になります。
2×☐は偶数、4×☐は偶数なので
5×☐と3×☐の偶奇は一致しないといけません。
3と5は奇数なので3×☐と☐の偶奇は一致,5×☐と☐の偶奇は一致するので
5×(偶数) 3×(偶数)
または
5×(奇数) 3×(奇数)
の場合に限られることになります。
○5×(偶数) 3×(偶数)の時
5×[2]+2×☐=3×[4]+4×☐は5×[2]+2×[3]=3×[4]+4×[1]
5×[4]+2×☐=3×[2]+4×☐は無理
○5×(奇数) 3×(奇数)の時
5×[1]+2×☐=3×[3]+4×☐は無理
5×[3]+2×☐=3×[1]+4×☐は5×[3]+2×[2]=3×[1]+4×[4]
の2通りとわかりました
(4)5×☐+2×☐=3×☐+4×☐の☐に0,1,2,3を1つずつ入れる方法になります。
同様にして
○5×(偶数) 3×(偶数)の時
5×[0]+2×☐=3×[2]+4×☐は無理
5×[2]+2×☐=3×[0]+4×☐は5×[2]+2×[1]=3×[0]+4×[3]
○5×(奇数) 3×(奇数)の時
5×[1]+2×☐=3×[3]+4×☐は5×[1]+2×[2]=3×[3]+4×[0]
5×[3]+2×☐=3×[1]+4×☐は無理
で2通りとわかります。
3.左の⑤と②、右の③と④に乗せてる積み木によるモーメントの和は左と右で同じになっています。
そして5+2=3+4=7より黒い積み木が置かれていない場所によるモーメントの和は番号の和を考えて左も右も15-7=8となるので白い積み木の積み方によらずに、板は水平のままとなります。
筑駒の理科ではてこの問題で何通りあるかという問題が定番ですが,早く解けるようにすることが重要です。
そのためには整理の仕方の練習をして奇数や偶数を考えるなどして場合分けを少なくしたりなど出来るようになっておくことも有効です。
がんばってください(畠田)
筑波大学附属駒場中学校 算数 問題解説&入試分析★2020年(R2年)
今回は筑波大学附属駒場中学校の問題を取り上げます。
【入試資料分析】
受験者数563人で合格者130人の倍率4.33倍
去年よりさがりましたが例年並です。
筑駒では最高点と最低点しか発表されていません。
算数、国語、理科、社会、調査書、各100点ずつの500点満点で最高403点、最低340点
例年通りと言ったところです。
今年の問題も具体的にやってみてから規則性を発見する筑駒のよくある問題でしたが,数学の方程式を使うと楽な問題も多かったと思います。
文字を使った式くらいは慣れておいてよいと思います。
【問題分析】
大問1…一次不定方程式の問題です。表を使って解くなど(1),(2)は瞬殺できたと思いますが(3)はX,Y,Zを3個ずつ足して50の倍数にするなど時間内に解くには工夫があった方が良いです。
大問2…試していくうちに,異なる3つの数では各桁に2回ずつ出るので合計数は(各桁の数)×222,2つ同じ数で1つ異なるの数では(各桁の数)×111と法則性に気付いていきます。
ただ,その法則性は数学的にもわかりやすくいので大して問題になりませんが(3)の整理の仕方が十の位と一の位の数の組み合わせで100マスを考えるかなど,この処理に筑駒らしさがあったように思います。
大問3…タクシーの料金といういかにも算数らしい問題ですが,距離に関する料金は切り上げ,時間に関する料金は切り捨てを混ぜてきて複雑になっています。筑駒らしい問題です。
大問4…(イ)=(ア)+(差),(ウ)=(ア)+(差)×2,(エ)=(ア)+(差)×3。(ア)+(イ)+(ウ)+(エ)=1×2の方程式でごり押しでわかってしまいます。今回はこの(3)をあつかいたいと思います。
(問題)2020年度 筑波大学附属駒場中学校 算数 大問4
図1のように,長方形ABCDにおいて,辺ABの長さ2m,辺ADの長さが1mです。この長方形の内側に点Pを,4つの三角形PAB,PBC,PCD,PDAの面積がすべて異なるようにとりあす。4つの三角形を,面積の小さい順に(ア),(イ),(ウ)、(エ)としたところ,三角形PABが(ア)となり,(ア)と(イ),(イ)と(ウ),(ウ)と(エ)の面積の差がすべて等しくなりました。次の問いに答えなさい。
(1)(ア)の面積が1/6m^2のとき,(エ)の面積を求めなさい。
(2)点Pが図2の位置にあるとき,三角形PDAが(イ)です。また図2で,点Qは辺AD上,点Rは直線PQ上にあり,PQとADは垂直です。さらに,斜線で示した図形DRAPの面積は,(ア)と(イ)の面積の差に等しく,1/6m^2です。このとき,QRの長さを求めなさい。
(3)点Pとして考えられるすべての位置を解答欄の長方形ABCDの内側にかきなさい。ただし,(ア),(イ),(ウ),(エ)の面積はすべて異なるので,図3の点線部分は答えに含まれません。
[解説]
(3)
まず△PAB+△PDCと△PAD+△PBCはどちらも平行四辺形の半分の面積1×2÷2=1m^2です。よって△PAB=(ア)が最小なので△PDCが最大となり(エ)とわかります。
(イ)と(ウ)はそれぞれ△PADと△PBCのどちらかとなります。
このような軌跡の問題は極端な場合を考えると軌跡が予想できます。
まず(ア)を最大にすると(ア)=(イ)=(ウ)=(エ)なので点Pは長方形ABCDの対角線の交点である中心になります。
(ア)と(イ),(イ)と(ウ),(ウ)と(エ)の面積の差をAとすると
そして(ア)を最小にした面積が0の場合は面積が(イ)=A,(ウ)=A×2,(エ)=A×3となればよいです。
実際にA=(長方形)÷6=1/3となればできます。
このとき(イ):(ウ)=1:2より点Pは辺AB上を1:2または2:1の点となります。
長方形の中心と、この2つの点をそれぞれ直線で繋ぐと答えはわかります。
本当に直線で良いのかどうかを考えると点Pを辺ADに平行に辺ABに向かって[1]進めると
(ア)の面積は[1]×2÷2=[1]減り,(エ)の面積は[1]増えます。
よって(ア)と(エ)の差は[2]増えます。
(イ)=(ア)+A,(ウ)=(ア)+A×2,(エ)=(ア)+A×3
よりAは[2]÷3=[2/3]増えます。
(イ)は(ア)が[1]減り,Aが[2/3]増えるから(イ)は[1]-[2/3]=[1/3]減ります。
△PADが(イ)とすると辺ADを底辺とすると高さは[1/3]×2÷1=[2/3]減ります。
ということは点PはABに向かってADに平行に[1]動かすと,ABに平行にADに向かって[2/3]動かせばよくなります。
1:2/3=3:2より対角線の中心から下に3進めて左に2進む直線と,下に3進めて右に2進む直線ということがわかりました。
もし数学的にやるとすると
(ア)の高さをy,(イ)の高さをxとすると
(ア)=2×y÷2=y,(イ)=1×x÷2=x/2
で(イ)-(ア)=x/2-yなので(ウ)=x/2+(x/2-y)=x-y
(エ)=x-y+(x/2-y)=x×3/2-y×2
(ア)+(エ)=1×2÷2からy+x×3/2-y×2=1よりy=x×3/2-1
となります。
文字の扱いに慣れている人はこれでごり押しでやっても大丈夫だと思います。
この問題は極端な場合を考えて答えをまず予想するということ,動かしてみて変化を考えることなどアプローチの仕方が勉強になります。
もし算数的に綺麗に解けなくてもごり押しで解くことも大切です。
がんばってください。(畠田)
灘中学校 算数(2日目)2020(R2)入試分析
今回は灘中学校算数第2日目です。
【入試資料分析】
算数第2日目と1日目と同じでここ数年で一番平均点が高くなりました。
そうなると平均点55.4点に対して合格者平均71.2点と差が16点ほどあり,1日目と同じく算数は大きく差がついたと思われます。
問題も全体的にどこかの類題であることが多く、計算が簡単な問題が多かったので、きっちり練習してきた人はズバズバ解けたかもしれません。
関東の学校で出された類題も多いので、色々な学校の問題をやっておきたいところです。
【問題分析】
大問1…旅人算ですが,関東の学校で多いダイアグラムで処理する問題です。おもいっきり誘導されているので間違えずに正確に早く解きたいところです。
大問2…マイナンバーのチェックディジット、検査数字を元ネタに作られた問題ですがこれは昨年の渋谷教育学園渋谷でも出題されています。
やったことなくても難しくはありませんが、やったことあった人の方が落ち着いて対処できて有利だったと思います。
大問3…時計ではありますがN進法の応用問題で、練習してきた人も多いと思います。
大問4…輪の通過範囲の問題です。よく勉強している人は類題をやったことある状態で受けられたと思います。
大問5…(1)は断面が正六角形の切り方を考える。(2)はA,B,Gを通る平面と直線PQとの交点を面BFFCから見て考える。など渋幕でもよく見られる難易度は高めですが切断の典型パターンが使えるので練習しておきたいところです。(3)を解説したいと思います。
(問題)R2年 灘中学校 第2日 大問5
右の図は,1辺の長さが6cmの立方体ABCD-EFGHです。Pは辺ABの真ん中の点,Qは辺FGの真ん中の点,Rは辺GHの真ん中の点です。この立方体を3点P,Q,Rを通る平面で切ったとき,この平面は辺ADの真ん中の点Sを通ります。
(1)四角すいC-PQRSの体積を求めなさい。
(2)3点A,B,Gを通る平面で四角すいC-PQRSを2つの立体に分けたとき,点Qを含む方の立体の体積を求めなさい。
(3)3点B,D,Fを通る平面で四角すいC-PQRSを2つの立体に分けたとき,その切り口の面積は,四角形BFHDの面積[ ]倍で,点Qを含む方の立体の体積は[ ]cm^3です。
[解説]
(3)
切り口の面積が四角形BFHDの何倍かを求めさせられます。
ということは,この四角形BFHDがある平面上にある面を底面と考えて,Cを頂点とするすい体を考えてみます。
四角すいC-JKLIと,四角すいC-BFHDは高さが共通になり,底面積の比から体積が求めることができます。
このことを使うとやりやすいのではないかと予想ができます。
それではまず点Jと点Iは線分BDのどの位置になっているかを調べましょう。
するとJB:JD=BP:DC=1:2。同様にBI:DI=2:1なのでBJ:JI:ID=1:1:1とわかります。
次に点Kと点Lは線分PQ,線分SRのどの位置になっているかを調べてみようと思います。
図3のように真上から見たら図を考えます。
するとそれぞれの中点になっています。
更に線分KLは線分BDの半分の長さであることもわかります。
これらのことから図4のように比をおけて
台形÷四角形BFHD={(4+6)×1÷2}÷(2×12)=5/24倍
と計算できます。
体積は四角すいC-JKLIを考えると残りの部分の四角すいC-KQRLは四角すいC-PQRSの体積54cm^3の半分なので四角すいC-JKLIと四角すいC-KQRLに分けて考えると良さそうです。
四角すいC-JKLIの体積は,まず四角すいC-BFHDの体積を求めて5/24倍します。
(四角すいC-BFHD)=(三角柱BCD-GHF)-(三角すいC-FGH)
=(立方体ABCD-EFGH)÷2-(三角すいC-FGH)
=6×6×6÷2-6×6÷2×6÷3=72
よって求める面積は
72×5/24+54÷2=42cm^3
とわかりました。
この問題はすい体の体積を底面積の比を使ったり,平面に落として考えたりなど切断のパターンの練習になります。
渋幕など類題も多いのでしっかり解いて考察しておけば努力が反映さて、合格に近づきます。
がんばってください(畠田)
灘中学校 算数(1日目)2020(R2)入試分析
数理教育研究会の畠田和幸です。
令和になって初の入試になります。
今年も解説をすることになりました。
よろしくお願いします。
最初は灘中学校の1日目です。
【入試資料分析】
今年の実質倍率は2.98です。
ここ数年ではもっとも多くなりました。
(H24)2.81(H25)2.81(H26)2.97(H27)2.61
(H28)2.67(H29)2.76(H30)2.88(H31)2.70(R2)2.98
次に平均点です。
昨年の算数が第1日目,2日目ともにここ数年で平均点が一番低かったのですが、今年の算数は第1日目,2日目ともにここ数年で平均点が一番高くなりました。
受験者平均点と合格者平均点の差も一番大きくなり、算数で差がつきやすかったようです。
(教科,受験者平均点,合格者平均点)の順に
(国語1日目,54.3点,58.1点)
(国語2日目,75.2点,79.9点)
(国語合計,129.5点,138.0点)
(算数1日目,55.4点,72.0点)
(算数2日目,55.4点,71.2点)
(算数合計,110.8点,143.2点)
(理科,57.3点,66.7点)
(総合,297.6点,347,9点)
算数は去年と比べて典型的な問題が多く、計算もそんなに複雑ではなくかなり簡単になったという印象です。
しかしそれほど点数は高くないので、焦りやミスなど実際に点数をとるのは難しかったと思われます。
マニアックな問題の知識よりも、普通の問題を早く正確に解ける誤魔化しのきかない高い実力を求められています。
【問題分析】
大問1…簡単な計算問題です。
大問2…消費税が8%から10%になったことをネタにした基本的な範囲の問題です。
大問3…時間が同じときは速さと距離は比例するという速さのよくある問題です。
大問4…カレンダーの問題です。4週ある曜日と5週ある曜日に注目します。
大問5…2018年度の大問3をやっていれば,単にそのまま並べればいいわけではなく2桁になった場合は法則性が変わってくる
ことに気づいたかもしれません。
大問6…時計算の問題です。1分に何度回転するか考えます。
大問7…典型的な比で長さを求める問題です。
大問8…直角三角形の相似などを使っていく、よくある問題を少しし複雑にした問題です。
大問9…この問題を扱いと思います。
大問10…回転体の問題です。相似な直角三角形などで長さを求めて回転させる、よくある問題です。
大問11…灘恒例の展開図ですが、元の立体を描いてとらえることはそう難しいわけではありません。
(問題)R2 灘中学校 算数第1日 大問9
右の図において,AB,CEの長さはどちらも8cmで,印○をつけた角の大きさは等しいです。このとき,四角形ACDEの面積は三角形ABCの面積の[ ]倍です
[解説]
△ABCは8cmと5cmとその間の角度が○
△CEAは8cmと9cmとその間の角度が○
なので面積の比は△ABC:△CEA=5:9とわかります。
△ABC≡△CEFとなるように辺EA上にEF=5cmとなる点をとるとCA=CFとなる。
すると△CFAは二等辺三角形となり点Cから辺AFに垂線CHをおろすと
FH=AH=4÷2=2cm
となる。
EH=5+2=7cmなので直角三角形CDEと直角三角形EHCは斜辺と他の1辺が等しいので合同となる。
△ABC=[5],△ACE=[9]とおくと△CEF=([9]-[5])÷2=[2]
よって△CDE=△EHC=[5]+[2]=[7]
したがって四角形ACDE=[7]+[5]+[4]=[16]
よって四角形ACDEは△ABCの[16]÷[5]=16/5倍
この問題は合同な三角形を描いてみたり、二等辺三角形を作ったりなど難問を解くときに使う方法の問題です。
おそらく∠DEAが90°には見えないようにわざと描かれていて、こういう場合の練習にもなります。
色々なパターンを経験して練習していくことで解ける確率があがっていくので頑張ってください!(畠田)
渋谷教育学園幕張中学校 算数 問題 解説&入試分析★2019年(H31年)第1次
今回は渋谷教育学園幕張中学の一次をとりあげます。
【入試量分析】
倍率はここ数年と同じ程度です。
今年は女子が多いですね。
男子
受験者数1380人 合格者数556人
女子
受験者数632人 合格者数195人
合計
受験者数2012人 合格者数751人 倍率2.7
各教科の平均点では算数の受験者平均と合格者平均の差が例年では10点程度ですが今年は13.8点とかなりあります。
算数は差がつきやすい試験だったと思われます。
(配点,受験者平均点,合格者平均点)の順で
国語(100,46.7,54.7)
算数(100,39.4,53.2)
社会(75,45.7,51.2)
理科(75,42.7,52.2)
合格最低点は188/350
【問題分析】
〇大問1
辞書式に並べる順列の問題は1,2,3,4,…と置き換えておくとわかりやすくなります。
主に高校数学で出される問題ですが,辞書式順列の解法をやってるかどうかでかなりの差がつきそうです。
(1)
Aでは1→[1],4→[2],6→[3],7→[4],9→[5],Bでは2→[1],3→[2],4→[3],8→[4],9→[5]と置き換えます。
[1],[2],[3],[4],[5]から4つ選んで辞書式に並べたときの20番目の数は
20÷(3×2)=3余り2より上2桁は
[1],[2],[3],[4],[5]から4つ選んで辞書式に並べた4番目より[1][5]
残りの桁は[2],[3],[4]から2つ選んで辞書的に並べた2番目で[1][5][2][4]
よってAは1947,Bは2938
(2)
[1]はAは1,Bは2よりBの方が大きい
[2]はAは4,Bは3よりAが大きい
[3]はAは6,Bは4よりAが大きい
[4]はAは7,Bは8よりBが大きい
[5]はAは9,Bは9で同じ。
よってBの方が大きくなるのは
[1]…,4×3×2=24通り
[4]…,24通り
[5][1]… 3×2=6通り
[5][4]…6通り
なので24+24+6+6=60通り
(3)
[1]では2-1=1だけBが大きい
[2]では4-3=1だけAが大きい
[3]では6-4=2だけAが大きい
[4]では8-7=1だけBが大きい
[5]では9-9=0で同じ
上の桁から考えていきます。
[3]が一番差が大きく,2だけBよりAの方が大きいことから
[3][2][5][1],[3][2][5][4]
の2つある。
[3][2][5][1]は2×(4×3×2)+1×(3×2)+2×(2)+1=59番目
[3][2][5][4]は2×(4×3×2)+1×(3×2)+2×(2)+2=60番目
○大問2
見た感じからN進数の問題かなって思いますよね。
1段目は1がいくつあるか
2段目は3がいくつあるか
3段目は9がいくつあるか
4段目は27がいくつあるかの3進法の問題です。
(1)27
(2)1+9×2+27×1=46
(3)2019を3進数であらわすと
2019÷3=673,673÷3=224…1,224÷3=74…2,74÷3=24…2,24÷3=8,8÷3=2…2,
より2202210(3)であるので各桁が三角形の個数より
(2+2+0+2+2+1+0)×1×1×1/2=4.5cm²
○大問3
表にまとめるなど処理、整理に慣れていれば簡単にできます。
しかし駅についてからの待ち時間なので頭がこんがらがって焦ってしまいまそうです。
(1)A君がK駅につくのは2時において15+12=27分
27÷8=3余り3で8-3=5分待ち
A君がM駅につくのは15+14=29分
29÷5=5余り4で5-4=1分待ち
よってM駅の1分間
(2)
①
午後2時に出てK駅に行くと12÷8=1余り4で待ち時間8-4=4分。
M駅に行くと14÷5=2余り4で待ち時間5-4=1分
午後2時に出てそれぞれの駅についてから何分後に電車が出発するかを表にまとめる
待ち時間が同じになるのは36分が共通なので赤の午後2時31分から午後2時36分まで
②
表の青の部分より3+1+4+2+3+1+4=18分
○大問4
応用度が高めの典型問題です。
(1)は何とかなるかもしれませんが、(2)は思いつかなくても見た感じ90°以外にはないので答えはわかりそうです。
(1)
①図より青の補助線を考えると△ABCと△CBFは相似でBV=1/2cm,△ACDと△ACFは合同より
△ACD=△ACF=(2+1/2)×1÷2=5/4cm²
②図よりDC=CFから△CED=△CFE,△CEF:△CAE=BF:AB=1/2:2=1:4より図のように面積の比がおけて
CE:CB=(△ACE+△FCE):△ACF=(③+①+①):③=5:3から
CE=5/3×CB=5/3cm
図のように直角二等辺三角形になるという問題がありますが
△DOAが赤い直角三角形と合同で,△BOAが青い直角三角形と合同で
x+yの半分は45°とわかり90°になります。
それでは大問5をとりあげます。
いかにも渋幕の最後の大問という感じの立体の切断の問題です。
(問題)H31年 渋谷教育学園幕張中学校 第1次 大問5
図のように、すべての面が平らな立体があり、辺ABと辺EFは平行で、辺BCと辺FG、辺CDと辺GH、辺DAと辺HEもそれぞれ平行です。
BC上に点Pを,CPの長さが2cmになるようにとります。また、DA上に点Qを、DQの長さが4cmになるようにとります。
このとき、次の各問いに答えなさい。
ただし、角すいの体積は、(底面積)×(高さ)÷3でもとめられるものとします。
(1)3つの点C,D,Fを通る平面でこの立体を切るとき、Aを含む立体の体積とAを含まない立体の体積の比を、できるだけ簡単な整数の比で表しなさい。
(2)3つの点P,Q,Fを通る平面でこの立体を切ると、平面は辺AEと点Rで交わりました。
①ARの長さとREの長さの比を,できるだけ簡単な整数の比で表しなさい。
②Aを含む立体の体積とAを含まない立体の体積の比を、できるだけ簡単な整数の比で表しなさい。
色々な解き方があると思いますが、難問は断頭三柱を見出して
(平均の高さ)×(断面の面積)
に持っていくと解ける問題がよくあります。
最初の方に考えてみていい解き方です。
(1)
図1のようになるので断頭三角柱二つとみて解いてみます。
辺ABに垂直な面で切った時の断面の面積の比は図2のように
(Aを含む方の三角形):(Aを含まない方の三角形)=8:12=2:3より
(AB,EF,DCの平均の高さ)×(Aを含む方の三角形):(EF,GH,CDの平均の高さ)×(Aを含まない方の三角形)
を考えます。
(6+6+9)/3×2:(6+9+9)/3×3=7:12
(2)
①
図3のようにBA,PQ,FRを延長すると1点Sで交わり赤い三角形の相似比を考えるのが一つの方法です。
SA:SB=AQ:BP=4:6=2:3なのでSA:AB=2:(3-2)=2:1
よってSA=2×AB=12cm
AR:ER=SA:FE=12:9=4:3
ADに垂直な面で切った時の断面の面積の比は図5のように
(上の三角形):(下の三角形)=6:9=2:3
となる。
よってFFの記号は長さ0として
(点Aを含む体積):(元の立体の体積)=
((AQ,BP,FFの平均の高さ)×(上の三角形)+(AQ,RR,FFの平均の高さ)×(下の三角形)×4/7):(AD,BC,FGの平均の高さ)×(上の三角形)+(AD,EH,FGの平均の高さ)×(下の三角形)
=((6+4+0)/3×2+(4+0+0)/3×4/7):((8+8+12)/3×2+(12+12+8)/3×3)
=47:266
よって47:(266-47)=47:219(畠田)
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